サリンジャーは「ライ麦畑でつかまえて」をもう50年以上前に著しましたが、場所をアメリカから日本に変え、ジャンルを小説からポップスに変えて、再び現れたサリンジャーです、このアルバムは。だからあなたの今の年齢に関係なく(?)、10代の頃の、あの切なくてくやしくてどこにも思いをぶつけられない不器用な頃の気持ちに戻りたくなったら、このアルバムを僕はお勧めします。1曲目の「恋とマシンガン」なんて”VOGUE ITALIAをめくりながらカフェオレボウルとクロワッサンなボク”な世界のようで、結局社会への手の込んだアッカンベーだし、「青春はいちどだけ」「全ての言葉はさよなら」なんて切なすぎて恥ずかしいくらいです。でもフリッパーズが凄いのは、そのサリンジャー的文体に、実は構造主義や記号論などの現代思想のエスプリが潜んでいることなのです。「恋とマシンガン」がヒットした時、山下達郎が彼らの歌詞を評して「音楽を馬鹿にしてる」と批判したけど、僕はそうは思わない。フリッパーズはポップスの批評であり、批評と情報武装でしか新しくなれなかった90年代サブカルチャーの産物なんだと思います。このアルバムの音は軽いですが、意味はけっこう重いものを伝えようとしています。
93年に発売された 「シングルス」もベストといえばベストですが、こちらは ファースト、セカンド、サードアルバムのミックスバージョンで、これ一枚聴けばそれなりにパーフリを理解できます。甘く切なく心地よいヴォーカルとちょっと難解だけど、面白くはかなく切ない不思議な歌詞に酔いしれてください。ただ、このアルバムは今だとかなか手に入りませんので、見つけたら相当ラッキーですv 入門用にぴったりかもかも。(パーフリファンのCDコンプリ用って感じもしますがね。。。)
パーフリで一番有名な「恋とマシンガン」が入っています。この曲は3、4年くらい前に日産のCMに使われていましたが、先行シングルでリリースしたとき、「予備校ブギ」というTBSのドラマのオープニングで使われていました。このドラマは確か織田裕二が出ていたはずです。 この作品でオザケンさんと小山田さんの2人だけになったんですけど、逆にこの方が方向性がすっきりしてよかったと思います。ただ、「カメラ・カメラ・カメラ」はシングルバージョンのほうが好きです。「ヘッド博士の世界塔」も紙ジャケでリリースしてほしいなと思いました。
20年近く聞いてますが、色あせないです。 詞の世界観も曲もメロディーも大好きです。 個人的にはフリッパーズの中ではこれが一番好きです。
1枚のCDを1曲も飛ばすことなく全曲通して聴いて楽しむ・・・ そういう意味でこの作品っていうのは <本当のアルバム>(僕の中では唯一の) なんだと思います。 『ヘッド博士の世界塔』のほうが好みではあるんですが、多分このアルバム1枚トータルの完成度には敵わない。 「さようならパステルズ・バッヂ」は名曲ですが、 だからといって、そこまで曲を飛ばすことはありません。一度かけたら1曲目から12曲目まで全部聴いてしまいます。 キレイに包装して、誰かにプレゼントしたくなる・・・そんな1枚です。
|