SF作品としてもかなり優れた作品。絵も良い。あの最凶バイオレンス漫画『バクネヤング』の松永豊和が、まさかこんなSF作品を描く(描ける)とは想像もできなかった。「センス・オブ・ワンダー」とは、まさにこの作品のための言葉、というと大げさか。でもそれぐらいに凄い。
(著)加藤伸吉、となってますが、これはV.A.。 コンピCDならぬコンピ漫画。こういう行為自体に価値がある。 いましろたかし、松永豊和、古泉智浩、早見純、カイトモアキ、ツギノツギオ、吉本浩二の作品は面白い。 そして『アバンギャルド夢子』の押見修造のデビューが本作でもある。
いましろたかし、加藤伸吉以外の作品は多分単行本には未収録。 買って損はないでしょう。
著者の松永さんは最近自身のHPで自伝小説も書いておられそれも面白いのだが改めて今作を読み返すとアクションがめちゃめちゃかっこよくて新しい。忍者が「EVI!」ていって刀避けるとことかすごくいい。著者本人や他のレビュアーもいう通りラストが一般受けしなかったようだけどこれはこれで緩やかな着地点で今見るとこのラストも悪くないですよ。
現在プレミアがついていて入手困難だけどどうかみんなどこかで手にとって衝撃をうけてほしい。
この松永さんの作品はコレが初めて。 しかしながら、ハマってしまう。 コレは何なんだろう?率直な感想で言うと。 ちょっと触るとすぐに壊れてしまいそうな……そんな印象も受ける。 肝心の内容はと言うと、ウサギ、ある理由があってウサギの姿をした人間の兄弟が、とある女の子に出会い、その子に連れられ龍宮殿へと連れて行かれる。そこは正におとぎ話の龍宮城であった。 そうすると、僕たちは元の世界に戻る時にはお爺さんになってしまう。そう思い、二人は脱出を試みるのだが…… 一言では言い切れない世界がそこにはある。 ホント、イッキコミックスといった感じもするけど。
まず絵を読んで欲しい。ネームではなく絵によって語られる物語が松永豊和の魅力ではないだろうか。不安と安心、夢と暴力がエンゼルというモチーフで語られる。 人知を越えた存在としてのエンゼルは、時にセクシャルであり、時に無邪気であり時に堪え忍ぶだけ。カタチもキューピーちゃんだったり、幻の昆虫だったり、アブナイ人であるみたい。 ページをめくった第一話「車輪達」。まず書き込みがすごい。いったい何人のばぁちゃんと天使が出てくるのか?数というものは暴力であり、時として暴力は我々の理解の外に存在する。結局の所、ばぁちゃんもエンゼルも、基本的に「何考えてんだかワカラン」存在なのかもしれない。 松永豊和は、子供の心理をとらえるのが上手い。夏休みの子供。ついやってしまう残虐性。そして後悔。第3話「姫蟲姫」を手に取ると、このあたりの少年の描写は秀逸であると感じる。かとおもえば、第4話「愛童神」では、小品でありながら独身の女性を巧みに描く。この書き方は、上手い。やられた。 じっくり、絵を読み込む作品として、お勧め。
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