さよなら、ベイビー
引き篭りの主人公青年が、他人の赤ん坊の世話を嫌々するハメになるのですが、
だんだん赤ん坊に情が移っていく様子が見事に描かれています。
表題にもある「さよなら」の場面ではホロリときました。
叙述トリックを用いた謎解きでもあり、一見バラバラに描写されていた出来事
が見事に最後一つになります。なかなか素晴らしい作品です。
ツナグ
設定が絶妙です。死者に一度だけ会える。ただし、それができるのは生涯一度だけ。死者の側も、生者に会えるのは一度だけ。一度その「権利」をつかってしまったら、その後どれだけ会いたい人間が現れても会えない。
この設定だけで、いくらでもストーリーが書けそうな本当にうまい仕掛けだと思います。しかし、あえてそこを長引かせず、5つのストーリー(正確には、4つ)に絞り込んだところもまた絶妙といえます。
あえてお涙ちょうだい的な重々しい話にはせず、比較的さらりと書かれていること。それでいて、それぞれに物語がある。ここも中々味があります。ある1つの話に至っては、むしろ後味の悪い、生きる側にとっても死んでしまった側にとってもたまらなく苦しい話もあります。
苦しい話、温かい話、少し悲しい話・・内容はそれぞれ別ですが、共通して言えることは「読後不思議と爽やかな感覚になれる」という点です。苦しい話や悲しい話で爽やかというのも似つかわしくないかもしれませんが、そう思わせるところが実に不思議です。
私個人的には、もう少し「泣ける話」を期待していたのでその点ではやや肩透かしなところもありましたが、読んで損のない一冊で会ったことは確かです。
サザンオールスターズ シングル44タイトル一括購入セット
まあ、商業主義だのどうのいわれますが今回の一括リリースはアルバムに入ってないシングルをどうにかしてくれという要望にこたえたものだと思います。店頭には昔のシングルなんてないですからね。以前からサザンの公式BBSでも結構まえから以前のシングルの入手方法の話題が多かったものですから。だから無理してまで持ってる曲を買わなくても良いんじゃないですか。あえてシングルコレクションじゃない理由も自分の持ってない曲だけを買うたなので皆さんお金が余ってる人意外は無理に買わなくてもいいでしょ。ただ若いサザンファンにはかなり有難いですね、すいかやHAPPYの存在を後から知った私はこれを期に未収録曲を買いたいと思います。ですので未収録曲だけはみなさん買いましょう。
新しき日本語ロックの道と光
「そのぬくもりに用がある」で打ち抜かれたタイプですが、ハッキリ言って「買い」です。
邦楽のアルバムなんて10年くらい買ってないのですが、これは正解でした。第一印象は音
の引きずり感がジョン・スペンサー&ザ・ブルース・エクスプロージョンと似ているかな。
で、聞いていくうちにイントロから一気に爆発してラウドに駆け抜けていく感じはMC5
だったり。ボーカルが高音でハスキーというよりもダミってくる辺り、それからアドリブ
で好きに煽る感じはモロにソウル。個人的には少しだけオーティスっぽいものを感じた。
一転してメロウな曲はギターのトーンがブルージーと呼べるほど枯れてはないが、ソウル
が好きなんだなーと直感させてくれるイイ音です。このタイトルはダニー・ハサウェイの
「新しきソウルの光と道(Everything is Everything)」をもじったものだけど、メンバー
にとって、このアルバムが記念すべき道と光なのは間違いないです。今すぐ海外のクラブ・
サーキットに出ても立派に通用するだろうと感じさせてくれる1枚。