女ぎらい――ニッポンのミソジニー
日本のフェミニストの第一人者である上野千鶴子。近年は、直接的なフェニミズム、ジェンダー関連
の本以外にも間口を広げている彼女であるが、本書はどストレートなタイトル『女ぎらい』だ。紀伊國
屋書店出版部のPR誌『scripta』にて3年半続いた連載を書籍化したとのこと。
フェミニストが「女ぎらい」?不思議に思われるだろうが、著者が説くのはこの社会の構造に深く刻印
された「女ぎらい」という名のシステムだ。「男」は女を締め出して男社会(ホモソーシャル)で地位と
財を独占する。彼らが「女」を嫌悪するのは、「女」が彼らの欲望を不可避に誘発させるからだ。その
一方で「女」を女の中から一人選び独占的に「所有」する。女は「男」と競争しながら、同時に「男」に
欲望されないとならない。このダブルバインドを前に、多くの女は分裂を余儀なくされる。そうした社会
のメカニズムに、本書は夫婦関係、小説、皇室問題、女子校文化など、様々なアングルから焦点を当
てる。
しかし、問題意識としては少々古臭く思える。そもそも、本書の元ネタとなったホモソーシャルは、セジ
ウィックが80年代に提唱したもので、なにを今さらという感は否めない。林真理子や東電OLが題材で
は、 さすがに対象年齢の下限がきわめて高く設定されてしまうだろう。
若い世代ほど、女も男も問題のフェイズは「他者の性」から「自分の性」へと移行しつつある。その点、
この本も長−い前置きのあとで、ようやく巻末(14章、16章)にて現代に戻ってくるのだが、それらは
ちょうど、読者に丸投げされる形で終えられる。
ところで、このページを訪れたとき感じたのはある種の居心地の悪さだ。そこにあったのは、好評価
レビューというより、いかにもな「上野師匠、ありがとう」の感想文。この教条的な上野の著作の前に
従順な読者でいられること。上野の批判の射程には、そういう心性も含まれると思うのだが、どうだ
ろうか?
火曜サスペンス劇場・主題歌集
テレビ朝日「土曜ワイド劇場」に対抗して、24年にわたり放映された2時間サスペンスドラマの歴代エンディングテーマソング集。
初代主題歌、岩崎宏美「聖母(マドンナ)たちのララバイ」の大ヒットを受け、以降、人気歌手によるエンディングテーマソングが定着しました。
様々な歌手によるバラエティに富んだ主題歌が一挙にそろい、通して聴くと非常に面白いです。
これが出るまで、シングルでこつこつ揃えてきた身としては複雑な心境でした。
なお、レコード会社の権利問題で、竹内まりやの「シングルアゲイン」「告白」のみ未収録。
また、放映中にリリースされたので、その時点(「体温/PARADISE LOST」)以降の歌も未収録。
その後5年後に、新たな未収録4曲と「1. 火曜サスペンス劇場フラッシュバックテーマ」を追加、
2枚組みの「火曜サスペンス劇場−主題歌集EX−」がリリース。
またまたシングルで買い足していたので、またもや複雑な心境。マニアなら両方買うべきでしょうが・・・。
時をかける少女 [DVD]
尾道三部作のあの名作を
なんと角川春樹、自らが監督してリメイク!
とこれだけで、見たくなる一品。
作りは、かなりオーソドックスで、
大林宣彦版に比べると作品内に流れる時間もゆるやかだ。
画面の美しさは、やはり大林版に見劣りする感はあれど、
監督が何を大事にしているかが伝わってくる。
これで主演の中本奈奈に、原田知世並みの透明感があれば作品の評価もグッと上がるだろうに・・・。
監督の弟の芸能事務所所属の中村俊介とこの中本奈奈を使ってくれと言われたからなのか、そこが惜しい。
手前に物を置いた、いわゆる「ナメshot」がお好みのようで多様されているが
ラストシーンでロウソクの炎ナメで走る芳山クンのカットが、
燃え盛るのは「恋心」のようで非常に良いカットだった。
アニメホットウェーブ
うーん、これは私も聴いたことがあるのですけど、日本テレビ系列の作品で、なかなか他のCDに収録されないアニメの主題歌が多かったかな、という印象が強いです。しかしこのシリーズ全体の合計60曲中に、「輝け!週刊少年アニメ王80's」か「アニメージュ・魔法少女・コレクション」のどちらかに収録されたのが合わせて「16曲」もあるとは思いませんでした。それも受けてこの評価です。
歌手ごとのベストアルバムでは、「Myこれ!クション・仁藤優子」で「1」を、「中原めいこゴールデン・ベスト」で「2」を聴くことができますね。
タイトルの理由は「8〜11」の4曲で、私もここの通称「ぴえろ魔法少女4連メドレー」が凄く印象に残って、その上でその4つ全部が収録された「アニメージュ・魔法少女・コレクション」を買ったわけです。これを買ってその「4連メドレー」が気になった方は、ぜひ「アニメージュ・魔法少女・コレクション」も買うことをお勧めします。
また、「輝け!週刊少年アニメ王80's」でも「12・14・15」を聴くこともできますので、こちらもお勧めしたいですね。
とはいえ、残り8曲もかなり貴重かなと思って、これ以上下げなかったわけですけどね^^;。とりわけ、「赤い光弾ジリオン」「蒼き流星SPTレイズナー」「星銃士ビスマルク」「美味しんぼ」は、収録してある他のCDがなかなか見かけないので、かなり貴重だと思いますよ(^^)。
欲望 [DVD]
イントロ、大衆食堂でヒロインが定食を食べるシーンから引き込まれます。この辺、監督のキャラが反映されてそうでいいですね。原作は女の生理的な部分の内向性が生々しく描かれていて重厚な作品なのですが、これをウ"ィジュアル的に表現するのは凄く大変だったでしょうね。もう女優さんの演技力頼みでしょうから…そういう意味では板谷由夏さん、かなり頑張ってると思います。ただ相手役の男優さんが板谷さんの演技レベルまで到達してなかった様な気がします。感情の無いセリフ回しが鼻に付いてまるでロボットの様だ。おまけに尻の上のタトゥーがやけに目障りに感じた。家政婦役の中村久美さんなどは原作のイメージ通りにほぼ完璧な役作りで舌を巻いたんですが…キャスティングのバランスが悪いですね。全体的な評価としては微妙な作品です。