ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
9.11で傷ついた魂の救済の本、と読めなくはないけれども、9.11はきわめて抽象的にしか描かれていない。もっと普遍的な何かを伝えることを目指している本だと思う。
主人公、オスカー・シェルの父、トーマス・シェルはワールド・トレード・センタービルで、9.11の同時多発テロに遭う。残されたオスカー、その母、祖母、祖父……そのだれもが嘘をつき、秘密を抱え、何かから顔をそむけて生きている。あまりに愛し、執着せずにいられないものから。あまりにつらく、たとえ真実とだとしても受け入れられないことから。
Shyness is when you turn your head away from something you want.
Shame is when you turn your head away from something you do not want.
オスカーとその家族の物語は、突然奪い去られた命の何倍もの数の残された命が受け止めなければならない悲しみの途方もない深さを読む者に感じさせる。善悪もなく、敵味方も虚実もなく、そこにはただ、言葉を失うほどの悲しみだけが残っている。9.11を題材にしながら、本書には加害者、被害者、正義、悪、といった言葉が一切でてこない。この小説の目的はそういった対立を描くことではなく、人の心に残る痛みの純度を極限まで高めて抽出することだからだろう。
Life is scarier than death.
オスカーは父が残した謎の鍵を手に、ニューヨークの町を彷徨する。鍵の入っていた封筒に書かれた「ブラック」というラストネームをもつ人を電話帳をたよりに一軒一軒たずねるという気の遠くなるような大計画だ。そうまでしても彼は知りたかった。父はどのようにして死んだのか。それがわかれば、そうだったかもしれない悲惨な死に方をあれこれ想像して苦しまなくてもすむから。奇跡的な偶然によって鍵の謎は解けたが、父の死にまつわる疑問は解けなかった。オスカーが最後にとった行動は、父の入っていない棺桶をもう一度あけてみることだった。棺桶が絶望的なまでにからっぽであることを確認したオスカーは、「そうあるべきだった未来」を封印し、また前を向いて歩いていく。エンディングの場面はそのように読めた。
I felt like I was looking into the dictionary definition of emptiness.
人は失ったものを失ったままで生きていくことはできない。失ったものを一度自分のなかにとりもどすのが喪の作業である。あらゆる歴史的悲劇の克服は、個人の喪の作業に還元されるのだ。
部屋干しソフラン 660ml
部屋干しで除湿機をかけると、商品の特徴である「速乾仕上げ」効果で、
確かに他の柔軟剤を使った時よりも早く乾きます。
香りもくどくなく、部屋干しに最適。
本体・詰替共々、もう少し手頃な価格だと嬉しいです。
ALL!!!!!! (DVD付)
最初、曲数と100sの2枚目だし、「太陽」のような位置づけかなぁ?って思っていたのに
1曲目の「♪でぇー――!!」で「これはタダモノやない!」と思いました。
そこからはOZとはまた違った100sがそれこそ「炸裂!」しています。
しかしOZ、それに続くツアー後に中村一義の祖父が他界され、
祖父に捧げる鎮魂歌という側面で聴くと、曲はポップなのに哀しみと力強さが溢れています。
ライブでも「蘇州夜曲〜ももとせ〜もしこのまま」の流れは泣きました。
100s初心者にも受け入れやすいアルバムじゃないかなぁって思います。
永遠の0 (講談社文庫)
最後の数章は大泣きした。
意地悪な目で見れば、この物語に弱点はたくさんあると思う。
登場人物はステレオタイプ気味だし、ストーリー展開もどちらかといえばありきたりだし、なにより綺麗ごとすぎる。
また、それぞれの章が高齢の戦争体験者の「伝聞」という形をとっているため、過去を語る部分は、物語としては読み進めにくい。
それでも、『宮部』という天才的な飛行機乗りの生き様を通して見た「太平洋戦争」は胸にきた。
物語は、司法試験に連続して落ち続けて半ばニート化している青年と、
ジャーナリストの姉が、自分たちの祖父が特攻隊員として死んでいたことを知り、
祖父について調べよう、とすることから始まる。
祖父・『宮部』のかつての戦友や部下から彼の生前について聞くにつれ、
臆病者と罵られるほど「生還すること」に執着し続けた天才パイロットの姿と、
迷走していた時代に生きるしかなかった日本人の姿が見えてくる。
桜花という人間が考え出したとは思えない兵器のおぞましさ、バカボムという言葉、当時の戦局と指揮者の行動。
読み進めていて、自分は戦争のことをまるで知らない、と思った。
もちろん、この物語の内容や考え方がすべて正しいわけではないし、鵜呑みにしていいとも思わない。
ただ、それを否定、あるいは肯定する材料としての知識を自分は正しく持ち得ていないのだと思い知った。
「特攻隊」というものが何かはわかっても、その正確な背景は知らない、というように。
この本を読んだからといって、さあ戦争について考えよう!とか、
行動しよう!ということではないけれど、
ただ、単純な私は、ちゃんと毎日をやっていこう、いろんなことに目を向けよう、という、
前向きな気分になった。
物語の完成度を考えて☆を4つとしたけれども、これだけ何かを考えさせてくれる、というその力は凄い、と心から思う。
いろんな人に読んでもらって、どんな風に思ったか、聞いてみたい。