SWITCH Vol.20 No.9(SEPTEMBER 2002)
今、活躍している人が満載だと思います。マリクワ特集がかなりそれを物語っています。目に見える形でそのとき起こっていた動きの結果が分かる今の方が意外と読みやすかったりするかもしれません。バックナンバーを読む楽しみはそういうところにある気がします。約2年前の中島美嘉も今の中島美嘉になるちょい前くらい感が出ていてなかなか読みがいがありました。
セルソ
池内博之ファンなら持っていたい一冊。
思ったことをそのまま書いてるので面白いです。
最初から最後まで一回で読み終えた。
池内についていろんなことがわかる一冊!
写真の数もかなり多くてうれしい。
ぜひまた新しいフォトエッセイを出して欲しい。
トム・ストッパード (1) コースト・オブ・ユートピア――ユートピアの岸へ(ハヤカワ演劇文庫 26)
この劇を知ったのは、ロンドン初演当時の「ニューズ・ウィーク」日本版の記事であった。
以前から、アイザイア・バーリンを通じてゲルツェンには注目しており、彼が主人公であるということで興味をもった。
その後、まさか日本で翻訳公演がされるとは思ってもいなかったので、昨年9月の公演はうれしい驚きであった。
1日9時間ぶっ通しでなく、3時間ごと3日連続の公演で何とか観ることができた。
昨年末のNHKBShiでの9時間一挙放映も、HDに無事録画、そして、今年になってからの本書刊行と続いた。
この邦訳版では省かれているが、原書の「Acknowledgments」で明らかなように、この戯曲は、そのメインの部分をバーリンとE・H・カーの著作に負っている。
第1部の主要人物バクーニンは、第2部・第3部ではやや狂言回し的な役割へと後退し、第1部ではほんのわずかしか登場しないゲルツェンが、第2部・第3部の中心人物となる。ほかにベリンスキーとツルゲーネフが印象的である。
ゲルツェンの台詞には、彼の膨大な著作からなまの文章も使われているので、ゲルツェン入門にもいい。
「前へ進むこと。楽園の岸に上陸することはないのだと知ること。それでも前へ進むこと。(略)丸が四角になる社会。葛藤が帳消しになる社会。そんな場所はどこにもない。ユートピアとはそういう場所の名前なんだ。だから我々は、そこへ向かって殺戮を続けるのをやめる日まで、人間として成長することはない。我々の意味は、不完全な世界を、我々の時代を、いかに生きるかにある。ほかにはない。」(590〜591頁)
いわゆる左翼とか、市民を称する陣営の人びとのうちどれだけの部分が、この演劇を観、評価したのかは知る由もないが、評者が感じたかぎりではほとんど存在さえ知られなかったのではないかと思う。
ユートピアの断念というゲルツェン思想の根幹は、いまだに「もう一つの世界」が可能だと信じ込んでいる昔ながらの左翼諸君にこそ味わってもらいたいものである。
再来年が確か生誕200年、日本でももっと知られてほしい人物の一人と言える。
LOVE MY LIFE ラブ マイ ライフ [DVD]
なかなかハッピーエンドが少ない同性愛がテーマの作品ですが、こちらは全体的に爽やかで可愛らしいです。同性が好きだけどハッピーでやってるよ!というメッセージが伝わってきます。登場人物の描写が細かくて、特にサブキャラクターのタケちゃんがイイキャラしてます。学校の様子などは非常にリアルで、演技であることを感じさせません。いちこのパパも、リビングでゲイ雑誌を眺めるなど、細かな配慮が冴えています。セクシャリティを問わず十分楽しめると思います。見終わった時の清涼感が清々しいです。原作はあくまで違う作品なので、どちらが良いかくらべる事はナンセンスだと感じます。私はどちらも好きです。