"Witch Hunt"
"Speak No Evil"
が◎。
リマスター→良好
今回のBNLA999シリーズはいろいろと興味深いレコードが国内初CD化されているが、本作もその一枚。 ウエインのファンは日本にも多いと思うが、本作のような最重要傑作がこれまで国内でCD化されていなかったというのはまさにレコード会社の怠慢とシカ言いようが無い! いつまでも「ナイト・ドリーマー」じゃないんだってバ!!
輸入盤のレビューでも書いたが,マイルス・スクールの元同僚が多数参加しているが,チックにしろ,デイヴ・ホランドやロン、それにジョン・マクラフリンにしろ、「おなじみの楽器」ではない楽器を担当させれているところがミソである。また、時期的にエレクトリックを想像している方もいらっしゃるだろうが、ほとんどアコースティック。だから、個人的には、「ビッチェズ・ブルーからウエザー・リポートへの過渡期的作品」という評価には同調できない。 「ネイティブ・ダンサー」のように、他との関連性は無く、唯一無二の個性を持って屹立している音楽である。
さて、本作のリリースで、いくつかの基本情報がヴァージョン・アップされている。 まず、録音時期。昔は、オデッセイ・オブ・イズカ(これも999シリーズで再発を!)と同日録音とされているが、今回、70/4/3と改められた。マイルスでいえば、「フィルモア」でのライブや、ジャック・ジョンソンのメイン・セッションのほんの数日前という事になり,たいへん興味深い。 ちなみに、ウエインは3月でマイルスのバンドを脱退している筈で,3月のフィルモアでのライブには参加しているが,レコード化された4月のライブは,スティーブ・グロスマンに替わっている(ジャック・ジョンソンのメイン・セッションもグロスマン)
それから、「謎のパーカッション・プレイヤー」ミシェリン・プレル(ペルツァー)だが、ベルギー出身のサックス・プレイヤーでジャック・ペルツァーという人の娘で,録音時にはまだ19歳だったという。 また、ベーシストとして、ウエザーの結成メンバーでもあるミロスラフ・ヴィトゥスの名もクレジットされている。もしこれが本当ならば,ロン・カーター、デイブ・ホランドと3人もの本職ベーシストをセッションに呼んだ事になり、ウエインの狙いはどこにあったのか,興味深いところです!
蛇足ながら,「モト・グロッソ・フェイオ」というのは、「アマゾン河」という意味なのだそうです。
いま、2曲目の「モンテズマ」を聞きながらこのレビューを書いているが,ドッタンバッタンした打楽器やヴァイブ、セロ、ウッド・ベースなどのモザイクの上を飛翔するウエインのソプラノ・サックスは超サイコーの出来です! 彼のファンは絶対必需品です!!!
映画としてはJazz giantsであるDexter Gordon、 彼自身の晩年の悲哀を語る、というものに尽きる。 狂言回し役のフランス人デザイナーが、有名人に群がるストーカーそのもので、薄気味悪い。
実際、この手の人たちを上手く利用していたミュージシャンは多かった。 Chet Baker なんてその典型で、映画の中でもChetの歌うレコードを主人公がしみじみ聴いている意味深なシーンがある。
内容そのものよりも、出てくるミュージシャンがそうそうたる面々。
狭い部屋で料理ばかりやっている不審な男、なんとヴァイブの巨匠Bobby・ハッチャーソン、いい味出している。 アカデミー作曲集をこれで獲得したH.ハンコック、洗練された見事なバッキングを聴かせる。
ギターの白人が誰だか分らなかったが、なんとJ・マクラグリンだとか。 ニヤニヤ、薄気味悪い笑顔のDrのBilly・ヒギンズ。 後半、出てくる童顔のTony Williams、彼も映画の後あっさり死んじゃった。 それにD・ゴードンがかすむ程の見事なペットのソロを空気を読まずぶちかますF・ハバート、彼も故人になってしまった。 主人公の世話を焼きつつギャラを巻き上げるデブの女将、実在の人物だそうだが、演じるサンドラ・フィリップス、 彼女の下品で迫力あるブルースも素晴らしい。 他にもW・ショーター、R・カーター、凄いメンバー。
映画はフランス人の勝手な思い込み過多で重苦しいが、なにせ出てくる面々で救われ、 何度見てもあきない。
この時代のウェインのバンド、凄いですよ。私は、この時代のウェインが一番好きです。ハイテクなコンテンポラリー系ジャズで、仕掛けやキメのある複雑な佳曲が多く、ミュージシャン関係の方はタマラないんじゃないでしょうか。数多の名曲を残しているウェインですが、エンダメィジド・スペィシーズ(M5)なんて、その中でも特段カッコ良い曲だと思います。 アルフォンソ・ジョンソンのベースは音が立ってキレているし、ディビッド・ギルモアのギターもイケてます。しかし、特筆すべきはロドニー・ホルムズのドラムスでしょう。ホントに凄いです。冴えまくりでブッ飛んでます。躍動的で美しいです。バネの利いた華麗でパワフルなスティックさばきに惚れぼれとします。ボーナストラックには、オマー・ハキム(&スタンリー・クラーク&ハービー・ハンコック)とトニー・ウィリアムス(&ロン・カーター&ハービー・ハンコック)のプレイも収録されていますから、このDVD、ミュージシャン関係の方にはタマラないと思います。 1995年と若干古い映像ですが、映像クオリティも充分に及第点以上です。堂々の5つ星です。お勧めです。
ポストコルトレーンだの、マイルスバンド在籍時に二日酔いでレコーディングに来てT.ウィリアムスに殴られただの逸話に尽きない御仁、“NATIVE DANCER”での音楽的な意味での飛躍、その後のウェザー以降での活躍も十分に知られるところですが、御仁名義でのアルバムでは、最も自分がまわした回数が多い作品です。
1曲目のイントロから、当時としては、いや、現在でもやはりインパクトはあり、何といってもB.マルサリスもちょっとだけタイトルを変えて(ORとANDの違い、日本人には理解できないニュアンスのような気も…)カヴァーした曲も入っており、E.ジョーンズのポリリズムもTOO MUCHにならずに聴き入ることができるので、私自身は4に漬かっていた時期としては最高の出来だと考えています。“SPEAK NO EVIL”もいいですが、当時の御仁が凝っていたある意味での難解さが溶けているように感じます。
参加作品も極めて多数に亘り、何から聴こうか迷っている方には是非お薦めしたい作品。
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