シリーズでも1、2を争う魅力の持ち主アルマンとマリウスの、「ヴァンパイア」的な哲学的文章の数々というだけでも読む価値あり。 しかも今回、アンライスの精緻で美しい筆致で描かれる対象は、ヴァンパイアの目から見た全盛期にある「ヴェネツィア」なのだ。ヴァンパイアの快楽と苦悩を描き落とすのに、ヴェネツィアの光と闇以上の舞台はないかもしれない。本質的に俗世的な善悪から「超越」していた彼らが、彼らの善である「美」に仕えるには、キリスト教国でありながら理性的であり、かつ圧倒的な富で東西の美を輝かせていたヴェネツィアは最適の都市であったと言える。 おまけにそのコントラストとして描かれるのは、アルマンゆかりのロシアの大地という辺りが巧い。同じビザンツの血を引きながら、ロシア正教に残る重苦しい信仰と、カトリックの中でも最高に放埓なヴェネツィアとを、アルマン自身の中で見事に対決させ、後半のパリの闇のカヴンとのコントラストへと繋げているのだから。 ただし、シリーズでも「悪魔メムノック」にはイマイチ肌が合わなかった、という人は、下巻はちょっと辛いかもしれない。メムノックほどキリスト教めいてはいませんが。 ちなみに、ヴェネツィア好きにしてみれば、あの水辺を闊歩するアルマンとマリウスを想像するだけでも楽しいですよ(笑)
なんだかこの子、
エビアンのハウリィっぽいなぁ、
とか、
ランドリでは描けなそうな
キャラクター設定と、
独特のテンポを楽しみました。
画面も日本もの??らしく、
黒が多くて、美しい。
描かれなかった年月まで
思わず想像してしまうのは、
登場人物たちの魅力かも。
素敵な短編集でした。
BD版だから絶対クッキリハッキリ!という期待はしていなかったものの、以前見て好きな作品だったので購入。
見てみたらやはりそこまで高画質ではなかったです。
PS3→(HDMI)→32型のテレビで見ましたが全体的に暗くてざらつきも目に付きました。
ブルーレイ画質というよりDVDをアップコンバートした画質という感じですかね。
ヴァンパイアものということで作品のほとんどが暗めなのはしかたないですが、それでもなにせ暗いなぁ、という印象。
同時に購入したシャイニングBD版が綺麗だったので残念に思いました。
内容に関してはブラッド・ピット、トム・クルーズ、子役時代のクリスティン・ダンストが出ていてヴァンパイアものとしては路線が違う珍しいストーリーなんではないかと思います。主役二人の美貌がひかってよい作品だと思います。
1994年の作品で、原作はそれより17年前の作品です。
原作のアン・ライスが、主演にトム・クルーズに起用したということに、
不満を漏らして、トムもかなり苦悩したそうです。
当時のトムは、正統派の好青年キャラの若手俳優。
そしてその相方役が、やはり当時売り出し中であった、
ブラッド・ピットだったのです。
双方の俳優とも、若手のアイドル俳優から、本格的な性格俳優、
あるいは、いろんな深みのある役をこなしていくということは、
避けては通れなかった通過儀礼であったでしょう。
そんな節目に、この役を演じたことで、
いまのトムとブラピがあるように思う分岐点の作品です。
トムの役は、レスタトという冷酷で、残忍なヴァンパイヤ。
役作りにも相当入れ込んだようで、この役のために十数キロも減量しています。
そしてブラピ演じるレイは、家族を失った悲しみに打ちひしがれたとき、
レスタトに目を駆けられ、ヴァンパイヤに身を転じるのです。
しかし、ここからが大変なのです。
生血で生きるヴァンパイヤなのに、人の命を奪うことができないで、
苦悩するのです。そして、からだは不死であるのです。
その複雑な役柄を演じきっています。
またその二人のヴァンパイヤに、ファミリーとして、
子役のキルスティン・ダンストが演じています。
いまではスパイダー・マンのヒロインとして有名ですね。
そしてタイトルにあるように、インタビューを行うのが、
当時の名優クリスチャン・スレーターです。
監督にはニール・ジョーダンが起用されました。
この難しい原作のよさをきちんと表現し、
単なるホラー映画ではなく、むしろファンタジー映画という、
当時としては定石ではない、すてきな作品になっています。
結果といて、原作者のアン・ライスは、ヴァラエティー氏の2面を買い取り、
この作品の出来良さと、トム・クルーズの演技について、
大絶賛するというオチもありました。
数ある吸血鬼ものの中で、本書が名高いのは映画「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」のヒットによるところが大きいだろう。
私も映画を観てから原作である本書を手にとったくちなので、どうしても場面々々でトムクルーズやアントニオバンデラーズが頭の中にうかんでしまった。
物語は一人のヴァンパイアの回顧的な語りで運ばれていく。人からヴァンパイアになった経緯、人の命を奪うこと、絶望の中を歩んだ200年について。
強く美しいだけではない、ヴァンパイアの生物としての悲哀を描いている点は評価に値する。
しかし文体に古風な表現が多く、小説の世界に入っていくのに少々壁があると思う。
訳者の力量のためだろう。
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