SLN AT ARI - April 14, 2009 ダイヤモンドバックスモバイル

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ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)

一言でいえば、そもそも戦略とは何か、これまで学術的に語られてきた戦略にはどのようなものがあるのか、そしてどのような戦略が本当に継続的な競争優位を生むのかを、とてもわかりやすく、本当にわかりやすく、説明した本。出てくるケースも、サウスウエスト航空やデル・コンピューターやスターバックスやアマゾン等の世界的に有名なものだけでなく、ガリバー、マブチ・モーター、ベネッセ、ブックオフ、アスクル等の日本企業も数多く登場し、日本の読者にも実感が沸きやすい。

特に前半で、戦略周りの流行、例えば「ベスト・プラクティス」や「シミュレーション」をバッサリ切り捨てているのは気持ちがいい。また、「戦略でないもの」として、実は「戦略」ではないのに、一見すると戦略のようで、実際に多くの企業で「戦略」として語られている多くの概念の、何が間違っているかを、サッカーの例で解説しているのは、思わず笑ってしまうほど爽快で理解しやすい。戦略本ではあるけど、渋谷のコギャルから石焼ビビンバのおこげまで登場する、軽妙な語り口で、面白く読ませてしまう。

ただし、ケースにしても内容にしても、これまで戦略論を勉強してきた人や、「一橋ビジネスレビュー」や「ハーバード・ビジネスレビュー」等を読んできた人にとっては、特に目新しいものは無い（圧倒的にわかりやすいけど）。また、「ストーリー」がある戦略が強いのはよくわかるが、ガリバーや楽天などの起業系を除いて、そのような強い「ストーリー」のある戦略を、企業が策定した例とか、どのように策定するか、等のガイドはあまり無く（強いて挙げれば、巻末にある「戦略ストーリーの骨法１０カ条」）、どうしても「後付け理論」の印象がぬぐえない。筆者自身が、「どんなに秀逸な戦略ストーリーでも、それが本当に成功するかどうかは事前には判断できません」と宣言しているのは、確かにその通りではあるけど、そう言われてしまったら、戦略を策定し選択することで勝利の確率を上げたい企業としては、もともこも無い。

というわけで、戦略とは何かを勉強したい学生や若いビジネスパーソン、またあまりアカデミックな内容は知らないけど実際に戦略を作っている実務家にはお勧めの良書。ただし、上級者にはお勧めしない。

スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学

経済学が素人の私が読んでも、すごくわかりやすい。
本書では、図が多く使われているが、図についての詳しい説明もあり、大変読みやすかった。
著者や出版社のこころ配りが伝わってくるような構成になっていた。
スタバ、100円ショップ、ケータイなど、普段なにげなく利用しているものが、
どのような仕組みでなりたっているのかが、よく理解できた。
経済学入門書として、また、教養を深める意味でも、おすすめの一冊である。