未熟な若手スタッフを敢えて起用したり、サンライズやスポンサーの要求にも対応してみせるという制約の多い中での制作は、「1stガンダム」や「イデオン」に代表される従来の富野作品と同様。
この御仁は、過酷な制作環境であればあるほど本領を発揮するタイプというか、気合いが空回りしてしまうらしく、この「Vガン」は富野氏のダークサイドが色濃く出た最後の作品(現時点で)ではないでしょうか。 本作以降は丸くなられたというか、ファンとしては少々モノ足りないというのが本音です。
で、この「Vガン」でありますが、当時でもありえないような物語序盤〜中盤の作画の酷さ。 またスポンサー対策として、第1話に主役機を登場させるべく第4話のシナリオから強引に始めたりと、序盤戦はもうツッコミどころ満載。
登場人物が一通り出揃う中盤までは我慢して観る必要がありますが、以降は作画も安定し、一話完結型のTVシリーズらしくなってきます。 中盤〜最終話に向けての各話の構成・演出は、もう圧巻といえます。
盛り上げ役は、いまひとつキャラの立たない主役級ではなく、魅力的な脇役たち。 故逢坂氏デザインによるオデロ、ゴメス艦長、ファラ、カガチ…。後半1話だけ登場するマチス・ワーカーやキスハールも印象的なキャラクターです。
音楽の千住明氏もいい仕事されており、また劇中での使われ方も完璧。
そして、アニメーションにしては多様な人種が登場するのも本作の特徴。マーベットとオリファー、イクとレンダのような肌の色が異なるカップルも登場します。 宇宙世紀になり、血が徐々に混ざり合っていくという演出は説得力がありました。
肌の色と同様にタブーとされてきた宗教についても、説教臭くならずにエンターテインメント要素として上手く導入しています。 「マリア主義」によってマインドコントロールされた集団の暴走を描き、放映終了から1年後に起こったあの「地下鉄サリン事件」をまるで予見していたかのようです。
いろいろ書きましたが、それも知らない人に是非観ていただきたい作品だから。まずはレンタルでもいいです。 「この内容じゃ視聴率獲れないよなぁ〜」という低空飛行に終わった作品ですが、もう少し評価されていいと思います。
TV版とは違うエンディングを用意した劇場版「機動戦士Zガンダム」
三部作による新訳作品を機軸とした外伝ストーリーの第二巻。
一巻以上にZ主要のキャラが登場しなくなっているのですが、
何故かキチンとZの世界観を感じさせてくれる構成になっています。
劇場版でカットされてしまったシーンをあえてオリジナル解釈で再構成し挿入する事で、
劇場版本編を何度も見返したくなるような気分にさせてくれます。
小さな穴をも見逃さない詰め込まれた設定公証に目が行きがちですが
数少ないメカ描写や登場する女性キャラの魅力的な描写にも注目。
「ガンダムといえばメカ同士のバトル」というような固定されたファンの意識を
変えさせる程インパクトのある徹底した構成が気持ちいいです。
メガビームシールドのビットは、外れるのは、良かったです。これと、HGV2バスターガンダムとを組み合わせすると、V2アサルトバスターが出来ます、ただ光の翼は、付いてませんが。しかし、Iフィールドは、肩に有るのに…。
どれも名曲揃いなのですが、特に僕は「いつか空に届いて」が好きです。ポケットの戦争をみた時の涙がイントロを聴いただけであふれ出してきそうです(ていうか溢れてます)とにかく必聴です!
この巻の物語が素晴らしいことは言うまでもない。大好きだったガンダムというストーリーがさらに重厚になり嬉しい限り。それに加えてコロニー内での生活描写が興味深い。アニメでは伝わってこなかった、「ああ、人間が無理して危ない宇宙空間で生活してるんだな〜」というのはヒシヒシと伝わってくる。スペースノイドという言葉がよく理解できる巻でもある。
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