死ぬ度にタイムスリップして生き返る男。
こんな不思議な話なのに、そこはさすが香納さん、ちゃんとハードボイルドに
なってます。
時間を遡って生き返る度に、前回の失敗を繰り返さないよう、より良い手段を
採ろうとする主人公。
主人公が前回と違う行動をすれば、当然相手の行動も変わってきてシチュエー
ションもその後のストーリーも前回とは違っていく。
その中で徐々に今まで分からなかったことが分かってくる。
だけどそれは新たな謎と新たな窮地を呼んで...。
そこに香納さんの作品らしい、主人公の忘れられない女性や忘れられない過去
も絡んできて、さらにヤクザとの派手なアクションシーンで盛り上げてくれま
す。
主人公は生き返る毎に物事の真相へ深く関わっていく。
そして主人公の心にも少しずつ変化が現れていく。
なかなか新鮮な趣向で面白かったです。
最終的に主人公はこの窮地を脱して、不吉な輪廻を断ち切ることが出来るのか?
自分自身と、愛する人たちを助けることが出来るのか?
香納さんの新たな世界を見られて満足しました。
私の中で理想の女上司NO.1の座を占める貴里子さんが大活躍しそうなタイトルに、今度こそは大切に少しずつ読もうと思っていたのに、読み始めたら自制がきかなかった。 突然ジェットコースターに乗せられて、3Dアクション映画をノンストップで見せられたような、そんな気分だ。 盗難車の解体ヤードから、高級ホテルのスイートルームへ。横浜へ、調布へ、アメ横へ。舞台は目まぐるしく変わる。 誰が命を落として誰が助かるのか、誰が誰をだましているのか、どうしてバイオリンを血眼になって捜しているのか、知りたくて、一気に読んでしまった。 あぁ、もったいなかった。作者には、早く続きを書いてもらいたい。
短篇の美しさと技に定評のある作者の渾身の力作。
長さが気にならない程、テンポのよい展開。
妻を殺されてしまったプロフェッショナルの殺し屋、ノンキャリアの疲れた刑事、
少年の頃に殺人を犯しながらも弁護士として社会に帰ってきた男、そして男のいう「透明な友人」とは?
それぞれが重厚に書き込まれ、時にヒットマン小説を読むような、時に刑事ドラマを読むような、
いわゆる一粒で数回楽しめる作品。
その縦のストーリーにやわらかな色を加えるのが、刑事の妻や殺し屋の亡き妻への思い。
ほんの少しだけ不満があるとするならば、刑事の部下の死は必要だったのか?という点
(もちろんこれと次に続く従兄弟の死によって、妻へのかかわりに信憑性が出たともいえるのだが)と、
心理学者の女性が最後に登場したときのまとめかたというか書かれかたが少し、
雑だったように見えたところ?
深読みしすぎかもしれないけどもしかしたら、予定外の長期連載になり、
むりくり山場を持ってきてのつぎはぎ?なんて少し思っちゃった。
なので悩みつつも、★4つ。
孤児院で共に育った悟を救うため、ヤクザや中国人マフィアとの争いに巻き込まれることになった斉木が、死ぬたびに再び同じ1日をやり直すというストーリー。同じ1日をやり直すことになるのだが、毎回異なるシチュエーションで始まり、やり直すたびに新しい事実が明らかとなるため、飽きることなく最後まで楽しく読んだ。登場人物たちも、昔の相棒の杏、刑事の比村、医者の片瀬、悟の恋人の敬子など、各人の個性がしっかりと描かれていて読みやすかった。
著者の作品としては、久々の傑作ではないでしょうか。ただ、特段、舞台となる地方を仮名にする必要もないような・・・。続編を期待します。
|