著者の目を通して、かつて歩んだ須賀敦子にとってのアッシジが今もそこにひっそりと在ることをかんじさせてくれる。美しい写真の数々、静かに語りかけてくる文、アッシジという町をそっくりそのまま伝えてくれる本に出会えた。聖フランシスコの生きた風景、日本人が半日限りで通り過ぎてしまっては出会えない場所や人、私ももう一度アッシジへ行きたくなった。
アルカディ・ヴォロドスのCDは今回が初めての購入でしたが、噂以上のピアニストです。このアルバムの選曲もタダモノではありませんが、演奏も圧倒的です。打鍵を含むコントロールの余裕が演奏技巧的に優れているだけではなく、曲の分析が大胆かつ超繊細。「葬送」が良い例で、技巧的に抑制のとれた表現が何とも知的です。『詩的で宗教的な調べ』の全10曲録音をしているアルドー・チッコリーニの録音もなかなかだと思っていましたが、ヴォロドスの演奏を聴いてしまうと、チッコリーニの「葬送」が単に一生懸命弾いているだけに聴こえてしまいます。憤激と激しさで確かに男くさい「葬送」ですが、ヴォロドスのこの録音を効いて、極めてロマンチックでありながら、ある意味ゆがんだ愛情表現が込められた作品であることを初めて認識しました。(<初版副題>疑惑の正当性が音楽的に証明されているではないか!)ソコロフとは違ってヴォロドスは日本盤が発売されているからいいですね。
愛と清貧に生き、小鳥にも説教をしたとして有名な聖フランチェスコ。彼の言葉は、未だに戦争のなくならない世界に生きている私達に、大切なことは何かを教えてくれるような気がします。 聖フランチェスコの有名な「聖フランチェスコの祈り」「太陽の賛歌」の言葉と共に、中世の雰囲気を色濃く残すイタリアの聖地・アシジ(アッシジ)の美しい写真の数々、そこを訪れた山川夫妻達の文面に、無宗教な自分でもアシジの地を訪れているかのような気持ちになります。 美しい写真を見るだけ(としたら高価かな?)でも、心が落ち着くような素敵な本です。 聖フランチェスコを描いた有名な映画「ブラザーサン・シスタームーン」を観てみたくなりました。(しかし72年の映画なので、ビデオも売っていないよう!で残念・・。)
「ルネサンス時空の旅人」シリーズの1巻である。
タイトルは「聖なる都アッシジ物語」となっており、アッシジの町と教会を存分に紹介してくれるものと期待したが内容は少し異なる。
実際は「アッシジが育てたイタリア中世の画家ジョットーの生涯と作品」というべきであろう。そう思って見ていただければ内容は質実ともに充実している。
ただし、お値段は随分高いですね。損保ジャパンがスポンサーとなって日本テレビが制作放映したものであることを考慮するともっと入手しやすい価格設定にすべきではなかろうか。
訳がいまいちで文意が不明のことが多々あった。論文の訳ということで、普通に読む本とはちょっと違う感じ。 フランチェスコが、修道会の修業僧ではなく、庶民が、宗教的な仲間としてキリストのような生活をする理想を抱いていたものの、異端にならないためには法王庁と妥協していったことがわかる。
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