"全編にみなぎる緊張感、そして凄まじい壮
仲代達矢 ランキング!
値段で購入を躊躇っている皆さん、その気持ち分かります。私もさんざん悩んだ挙句「1CLICK」をクリックしたときは、「やっちゃったかなー」と思いましたもの。でも、聴いて納得。これは値段以上の価値がありますよ。いなかっぺいによる津軽なまりの朗読も聴きごたえたっぷり。「畜犬談」「きりぎりす」「皮膚と心」「葉桜と魔笛」などは、小品だからと安易に選ばれたのだろうと思ってあまり期待せずに聴きましたが、なかなかどうして。まったく聴かせます。「畜犬談」なんかはそのまま落語としても通用するのでは?岸田今日子による「ヴィヨンの妻」、奈良岡朋子の「斜陽」全編朗読は、まさに贅沢なひと時。名優たちが自分のためだけに朗読してくれる、特別な時間を満喫することができました。 太宰治作品集 関連情報
俳優生活60年の仲代達矢が、自らの役者人生とその中で出会ってきた映画監督や俳優たちについて語った本。雑誌の連載が元になっている。戦後の混乱期から、日本映画の黄金期、さらにはその後の時代と、長きにわたってこの国の映画界や舞台を人気男優の一人として支え、また無名塾などを通じて後進の指導にもあたってきただけあって、大変興味深い話が披露されている。戦後の混乱の中で役者になろうと思ったのはどうにも食えなくて、競馬場での仕事仲間に「おまえ、顔がいいから役者になれよ」と言われたからだという。きちんと演技を学んで俳優になろうと考えて「俳優養成所」に入る。はつらつとした青春像を求める当時の映画界ではなかなか受け入れらるタイプではなく、佐藤慶とともにデビューのチャンスはなかなか得られなかったらしい。新劇は儲からないが舞台にはこだわり続け、映画と舞台での活動はずっと半々にしてきたという。舞台の俳優は一生懸命やればいいと思っているが、映画をやると自分の意図した演技のイメージとの違いに気づくというようなことも述べている。黒澤明、小林正樹、木下恵介、五社英雄といった強烈な個性を持った監督たちの話はとても印象に残った。命がけともいえる壮絶な撮影シーンや様々な秘話も登場する。勝新太郎、三國連太郎、萬屋錦之助、田中邦衛、三船敏郎、市川雷蔵、岡本喜八、丹波哲郎といった男優たちとのエピソードもふんだんに出てくる。議論の末殴りあいになったりしたこともあったようだ。高峰秀子、原節子といった女優たちについても書かれており、「名女優といわれる人はやっぱり、小さな幸せ、小さな家族、それは求めないです」と語っている。映像芸術にも効率化の圧力が強く、役者を育てる余裕がなくなり、ベテランのスタッフを抱えていたプロダクションが解散したりと、いろいろな問題があることについても触れている。一方で、映画は1900年に生まれてから大きく変わってきたように、今後も我々の文化は大きく変わるだろうし、しかし100年くらいで人間のこころはそう変わらないとも述べている。予想より面白く読めた。 仲代達矢が語る 日本映画黄金時代 (PHP新書) 関連情報