Artur GACHINSKI - 2015 Russian Nationals - LP.

ベートーヴェン:1.ピアノ協奏曲第1番 ハ長調Op.15/2.ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調Op.73「皇帝」

40年代のステレオ録音とのこと。いい意味で全く期待外れ。ノイズに埋もれて古色然とした音できれいな音が聴えてくるのかと思っていたら、Nr.5の音質,40年代の録音とはとても思えないクリアーで抜けのよい高音質。ある意味、バケモノ級のレベルと言える。60年代、70年代の録音でもこれより音が悪い録音はいくらでもある。この曲は、やはりアダージョ、しっとりと歌わせている、うっとりだ。ところで、Nr.1の方だが、こちらはモノラルであるとしても40年代録音にしてはこちらも高音質。２楽章のラルゴは、私には今迄聴いてきたいずれの演奏よりも最高に満足であった。このラルゴは、この演奏を聴くとNr.5のアダージョにも全く負けない深い内容であることが理解される。個人的には、このラルゴをもってこの盤の白眉と申し上げたい。両曲とも、パッションがひしひしと伝わってきて時折グッとこみ上げてくるものがある。音楽をきわめて真剣な行為として行なわざるを得なかった状況が形成しえたものとして受け止められるのである。 ベートーヴェン:1.ピアノ協奏曲第1番 ハ長調Op.15/2.ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調Op.73「皇帝」 関連情報