思索日記〈1〉1950-1953 叢書・ウニベルシタス
私はホッファーを通してアーレントを知りました。往復書簡や論文と違って本書は日記です。あくまで自分用のメモであることと、他言語からの翻訳による微妙なニュアンスのズレ等により、一読しただけでは意味不明な文章が散見されます。わかりにくいけど何か意味ありげな文章の真意を探りながら読むのが好きな人にはお勧めです。私は本書を最初図書館で借りたのですが手元に置いておきたくなり購入しました。それにしても、ある事象を言葉でここまで表現できる人ってすごいな〜と、ただただ感嘆します。物事が安易に二項分類化され、性質の一部だけが言語化された状況に私たちは慣れきっています。安っぽい表現で言えば「言葉遊び」ですが、言葉を尽くして物事の本質に迫ろうとする哲学的なアプローチは、昔の和歌などのほうが優れていたのではないかと思いました。