Stiff: The Curious Lives of Human Cadavers (Alex Awards (Awards))
本当なら、少し想像するだけで、ここに書かれているように、死体(=献体された遺体)が生き生きと活躍している世界が密かに世の中に展開していることは、当然のことに過ぎないのかもしれない。どれほどがんばっても、人間の身体の代わりは人間の身体にしか出来ず、生体を使えないのなら死体を使うしかないからだ。しかし(日本では欧米以上に)死体を見せることは、性的なもの以上に禁忌感が強いので、我々が日常生活でこのような世界を垣間見ることはほぼ確実にないし、普通の神経の持ち主なら「恐れ多さ」や「不謹慎感」も手伝って、知りたいとも思わないのだろう。しかし、少し想像力を働かせるだけで、死体がこのような役割を果たすことでどれほど多くの人々を助けているのかも明らかなのだ(そうは言っても、アメリカには、犯罪被害者の死亡時刻推定のために、実際に様々な状態/場所で遺体を腐敗させる研究所がある、というのはかなり驚くが)。
作者が実際に突撃取材をしたルポ(かなり笑える)と古今東西の(これまたなかなか笑える)引用の数々が絶妙のバランスで、この本を他の「死体についての本」とは一線を画したものにしている。少なくとも、ほとんどの読者にとっての「あなたの知らない世界」が展開されていることだけは、お約束できるだろう(さらには、笑える読書体験でもあるし、非常に教育的でもある、最後に献体の仕方も書いてある)。
翻訳も出ているが、表紙や各章の扉の写真など遊び心は原書の方が数段上。それにしても、日本の遺体事情はいったいどうなっているのだろう?同じ内容の本を出すにしても、はるかに真面目なものになってしまうのではないだろうか。
Stiff: The Curious Lives of Human Cadavers
本当なら、少し想像するだけで、ここに書かれているように、死体(=献体された遺体)が生き生きと活躍している世界が密かに世の中に展開していることは、当然のことに過ぎないのかもしれない。どれほどがんばっても、人間の身体の代わりは人間の身体にしか出来ず、生体を使えないのなら死体を使うしかないからだ。しかし(日本では欧米以上に)死体を見せることは、性的なもの以上に禁忌感が強いので、我々が日常生活でこのような世界を垣間見ることはほぼ確実にないし、普通の神経の持ち主なら「恐れ多さ」や「不謹慎感」も手伝って、知りたいとも思わないのだろう。しかし、少し想像力を働かせるだけで、死体がこのような役割を果たすことでどれほど多くの人々を助けているのかも明らかなのだ(そうは言っても、アメリカには、犯罪被害者の死亡時刻推定のために、実際に様々な状態/場所で遺体を腐敗させる研究所がある、というのはかなり驚くが)。
作者が実際に突撃取材をしたルポ(かなり笑える)と古今東西の(これまたなかなか笑える)引用の数々が絶妙のバランスで、この本を他の「死体についての本」とは一線を画したものにしている。少なくとも、ほとんどの読者にとっての「あなたの知らない世界」が展開されていることだけは、お約束できるだろう(さらには、笑える読書体験でもあるし、非常に教育的でもある、最後に献体の仕方も書いてある)。
翻訳も出ているが、表紙や各章の扉の写真など遊び心は原書の方が数段上。それにしても、日本の遺体事情はいったいどうなっているのだろう?同じ内容の本を出すにしても、はるかに真面目なものになってしまうのではないだろうか。
Discipline
凄まじい!何てドラムだ!!!以前のcadaverとは違いテクニカルなデスメタルからプリミティブかつパンキッシュなブラックメタルに方向転換を果たした!聴いていて恐ろしく疾走感があり結構朝の忙しい時間帯にも聴ける名盤!このアルバムを聴きながら車を運転すると警察の方々に有難いものを頂ける恐れがあるので注意!
ベーカリーは罪深い ダイエット・クラブ1 (ランダムハウス講談社文庫 ス 5-1)
大学の先生だったのに、お父さんの面倒を見るために小さな町の図書館長としてUターンした主人公が、メタボ解消のためのサークルに参加して、町で起きた事件を解決するコージーミステリ。
男性が主役の素人探偵というのも、サバサバしていてなかなかいい。また面倒を見ようとしてもなかなか心が通わない父親との関係修復も2作目以降気になるところ。このじい様、なかなか一筋縄ではいかないのだが、納屋でコソコソ何をしているのか、すごく気になるのだ!! この夏一番のお気に入りになったような? まだ夏が終わってないので断言できない。
シチリア・マフィア―華麗なる殺人
本書は92年に暗殺された、マフィア対策で名高い二人の検事ジョバンニ・ファルコーネとパオロ・ボルセリーノの死闘を軸に、イタリアにおける伝統組織から新興集団というマフィア勢力の移り変わり、そして闘争を通じた市民の反マフィア気運の盛り上がりを描いたもの。
マフィアといえばイタリアの名物、我々は映画でしか見たことがないが、彼らは実際のイタリア社会において失業者への仕事の差配、公共事業の請負、政治家とのコネクションなど日本のヤクザは比較にならない影響力を有している。しかも本来民衆の保護者であったある種の牧歌性をも失い、利権の搾取と凄まじい暴力傾向を強めているのは本書の通りである。本書の主人公ふたりが車を爆破され、機関銃で殺害された事実は映画を超えたマフィアの凶暴性を如実に物語る。本書は94年のイタリア新政権成立で終わっているが、アンドレオッチ首相に代表される政治とマフィアの腐敗関係などは容易に解決される見込みはないと思われる。最後に、訳者がマフィア問題の専門家でないのは「あとがき」の底の浅さなどからやや残念に思った。