家族ゲーム [DVD]
特筆すべきは、音楽やナレーションが全く無いことです。
ひたすら映像と音声によって表現し、
ある意味で本物の正統な映画と言えるのかもしれない。
しかし、その構図と登場人物たちの奇妙さによって、
最初から最後まで目が離せない。退屈なシーンが無い。
配役もまた面白い。
やたら不気味な家庭教師を見事に演じる松田優作。
陽気でうっとうしい父親像を見せつける伊丹十三。
気弱でいつもオドオドしている母親役の由紀さおり。
挙句に、近所の奥さん役で出てくるのは、
アンダーグラウンドの歌姫・戸川純。
その他もすごくクセのある役者揃いです。
何度か出てくる「バット殺人」というキーワードが、
ラストシーンの謎を視聴者に考えさせる。
説明的な表現が無くて、
見るものの思考を無理やり引っ張るのでなく、
少し離れたところまで迎えに来るだけなのが心地よい。
あくまでもエンターテイメントなのだけれど、
深読みしようと思えばできる、すごく良く出来た映画です。