GANTZ 33 (ヤングジャンプコミックス)
今までのGANTZと宇宙人襲撃後の血戦を描く今のGANTZは、いよいよ戦いの意味が変わって来た感じがします。新章の敵は、今までの星人以上に、圧倒的な肉体的強さの差や、異能の力による脅威を見せ付けて来ます。しかし回を増すごとに絶望を上塗りして行くGANTZにおいてそれ自体は当たり前です。 新章の絶望はついにGANTZ全体の謎が見えて来る中で星人という存在が個でなく群(文明)として人類に立ちはだかることにあり、その恐怖の極みは強力な宇宙人以上に、むしろ彼らの文明における最下層の生物(地球のゴキブリや鼠に該当する様な)に肉体的にも完全に劣り、文明を結集しても及ばない…種として人類が劣っていることを強調して描いてる点にあります。 他の方も仰る通り、戦争をしているつもりなのは人類及び一部のエリート宇宙人だけ。 人類が局所的にでも彼らに対抗出来てるのは、地球外からもたらされたGANTZというオーバーテクノロジーあってのことで、本来これは虐殺ですらない単なる駆除あるいは漁です。 それでも知性ある生物として戦う人間たちの行き着く先に、種としての主張と尊厳を期待したくなるこの漫画の面白さは本物。 思い付きでしかなかったであろう桜井たちの超能力設定すら、劣等とされる人類の中にある進化の可能性という意義が出てきました。目が離せません。
GANTZ 32 (ヤングジャンプコミックス)
酷評の嵐に驚いています。
じっさいにみなさんがおっしゃっていることを踏まえて読むと、確かに『うーむ…』となってしまうところが多々あるように思えます。
初期に比べて少年マンガちっくになったと言えばいいんでしょうか?
荒唐無稽で訳の分からない状況の中で、死と隣り合わせになることで人間のエゴが浮き彫りになり、それらが絡み合う泥沼の戦いから、アクションをばりばり魅せてスタイリッシュにキメる演出が増えましたよね。
でも、私はカタストロフィ編は大阪編くらい好きです。面白いです。 初期の頃は毎度毎度ガンツメンバーが大量に殺されて入れ替えられるので、キャラクターに感情移入しづらかったのですが、メンバーがある程度固まってからは、密接な人間関係も描かれていて、胸が熱くなる場面が増えました。『自らのために戦う』から『誰かのために戦う』に変わったんだと思います。
勝機の見えない絶望感なら、カタストロフィ編も負けていないと思います。
そんな中でもあきらめない東京チーム。彼らに賛同し全国から集まった新メンバー。
彼らがこの後どう戦っていくのか、最後まで見守っていきたいです。