妖怪人間ベム DVD-BOX
妖怪アニメは沢山ありますが、この旧版「妖怪人間ベム」ほど徹底して恐怖を追求した作品は他にありません。
初回放映を観ていた者として、再放送時の音声削除や、今回のDVD化、それもせっかくのBOXセットなのに音声削除に加え映像が編集されていることに寂しさを感じてはいます。
しかし、新版やVol.5収録のパート2-パイロット版が遥かに及ばない「凄味」がこの旧版には有ります。
JAZZを基調としたBGMに、無国籍な設定。陰欝ながら、淡い色彩、そして構図。
この作品の絵は微妙に歪んでおり、人物の身体のバランスも不安定で、ベロの走る姿などに見られる手足の動きの「ぎこちなさ」は時代を感じさせるかもしれません。
実は、この作品、低予算の為、作画をアニメ黎明期の韓国に発注していたとのこと。
パイロット版も新版も再現出来なかったあの「凄味」と妖気漂う独特の「歪んだ」画面は、あの日、あの時のスタッフのみが成し得た業なのでしょう。
商品のケースやBOXに描かれたイラストは書き下ろしのようで、変身前の三体の指は五本。新版と同様の措置です。
アニメとほぼ同時にスタートした、雑誌『ぼくら』連載版にも、五本指のカットと三本指のカットとが混在しています。
『ぼくら』版の場合は、アニメと同時期に別途「手探りで」制作された「もう一つのオリジナル」として尊重出来ますが、DVD版のイラストは新・旧共に、改竄と言わざるを得ません。しかし、本編は「本物」なのです。
サブタイトルの画面は、全て差し替えられていますが、サブタイトル自体の改竄は、第4話 「人魂」(原題「せむし男の人魂」)のみです。
不完全版なのは残念ですが、それでもなお、旧版“妖怪人間ベム”は妖怪アニメのみならず、日本のスリラー番組(当時、ホラーとは言わなかった。)の極致だと思います。
哄う合戦屋
ここに描かれている、石堂一徹とは日本人が昔ながらの時代劇や侍に求めたものが、そのまま素直に表現されています。戦国時代という非日常のなかで一人の武士として、さらには男としてどう生きるのか、、、。一徹と姫(若菜)との間の互いの想い合う気持ちなどは分かりやすく、人の根底にあるものが素直に読み取れます。なかなか手に取ることが少ない時代小説の中では、女性の方にもおすすめの作品です。