俳句という遊び―句会の空間 (岩波新書)
この本と続編の「俳句の愉しみ」は 近年の岩波新書の中でもマスターピースであると思っている。俳句というどこか抹香くさい詩を 実に楽しく描き出している。俳句大会というものが かように和気藹々として 闊達なものであるのかと感嘆する。これらを読んでいると自分でも俳句を作ろうと強く思ってしまう。素人の小生が、である。その意味で 俳句という「世界最短の詩」を再度 甦えさせうる 力強い一作である。
俳句という愉しみ―句会の醍醐味 (岩波新書)
前作「俳句という遊び」の続編で 小生は 本編の方が前作より少し好きである。句会の楽しさもさながらであるが メンバー強化の結果、句の内容が更にグレードアップされていると思う。この本を読んでいると まことに日本語の持つ美しさ、玄妙さを強く感じ、日本人として感嘆に耐えない。17字という狭い空間に 宇宙を盛り込まなくはいけないという究極の制限こそが 本当に豊かな表現を作りだしている点に誇りを覚える。昨近の「汚い」日本語に辟易している小生として 万人必読とすら言いたい。
短歌パラダイス―歌合二十四番勝負 (岩波新書)
まったく短歌に興味のない人でも楽しく読める、とても優れた“短歌入門書”。歌合せという一種の「バトル」を描いた物語としても面白い。ひとつひとつの歌の解釈がきちんと説明されているし、また歌人たちの解釈(中には間違って解釈したものも……)も、人それぞれで面白い。歌人たちの作風がわかりやすく説明されていたり、自選の歌も収録されているので、誰の歌が好みかを判断し、歌集を買うときの手引きにもできる。短歌の奥の深さを初心者にも伝えられる素晴らしい書籍です。