となりの駐車監視員
本書を読み、駐車監視員制度の導入時に誰もが懸念したであろうことが、
現実化していることがよくわかりました。
それは、「交通渋滞の解消や事故防止という目的達成の手段に過ぎないはずの駐禁取締りが、
目的化してしまわないか」ということです。
本書では冒頭から、自分の所属する事業所が、
警視庁管轄区域内の違反標章取付件数1位になったということが、
肯定的なニュアンスで書かれています。
また、受託会社の指定は、単純な入札ではない「総合評価」によってなされており、
総合評価においては取付件数が非常に大きな判断要素となっていることも書かれています。
著者の言う「貼付件数至上主義」の深刻さがうかがえます。
違反者から浴びせられた監視員に対する批判と、それに対する反論も多く書かれています。
しかし、違反者が最も不満に思うのは、
多くの人が気軽に止める場所=ほとんど交通の妨げにならないであろう場所が、
重点的に取り締まれていることであろうと思います。
これが取締件数を挙げるために最も効率的な方法なのは間違いありませんが、
これでは取り締まりの本来の目的は達成されないのではないでしょうか。
受託業者の指定において実績を考慮するならば、
交通妨害や危険の程度に応じてエリアを点数化するなどして、
違反の弊害が大きい場所が重点的に取り締まられるよう、制度の見直しが必要ではないかと思いました。