オリンポスの果実 (新潮文庫)
全ての片思い野郎は本書を読んで自分の思いの浅はかさを知れば良い。ストーカー野郎もそう。自分の思いが浅すぎてきっと恥ずかしくなるはず。
しかしながらこんなに好きだ好きだといっている物語もめずらしい。こんな原稿用紙200枚にも及ぶ手紙を君達は一度でもかいたことがあるのか。あるはずがない。犯罪すれすれだからである。しかしながら本書が犯罪にならないのはまさに、最後の一行があるからである。この最後の一行、心の叫びということは理解できるが、一歩まちがえればとんでもない方向に行ってしまう。そこを踏みとどまらせているのは主人公のまじめさだからであろう。くだらない、つまらないと途中で本書を投げ出すこともできる。しかし最後まで読むことによって、貴重な最後の一行に君達はたどりつけるのである。読め!そして坂本の心を感じろ!
以上。