ドーン (講談社文庫)
平野氏はデビュー作の「日食」以来注目していた。この「ドーン」は近未来、NASAが打ち上げたロケット内での人間模様を、現実のアメリカ大統領選や人種問題を絡めて描いた人間讃歌の作品である。平野氏の新境地を切り開く傑作と思う。
葬送 平野啓一郎が選ぶ”ショパンの真骨頂”
絶対に買いですね。
聞いていて、ふと、平野啓一郎さんが小説「葬送」を書かれていたころの風貌を思い出しました。
「葬送」は年々、重みを増してるような気がします。
芸術も消費されるためだけに作るられることも多い世の中で、作家がある決意を持って、自分の作品と真剣に向かい合い
そしてそれが、色あせないのは奇跡的なような気がします。
ただ、純粋にこの音楽に向かい合ってみたいと思わせる輝きが、このCDにはつまっています。
青い蝶
ネットで試聴して、気になり買ってみましたが、買って良かった。
癒し系だなぁと思っていたら、いろんなジャンルの音楽があってなんだか得した気分になります。
沖縄民謡まで聞けましたし。
曲も一つのドラマが見えてきて、すごく不思議な感じです。
こんなCDがあるなんて、良いですね。
葬送〈第1部(上)〉 (新潮文庫)
この作品最後まで(第2部下)まで読みました。4カ月以上かけて少しずつ読みました。私は、ショパンとドラクロワの中で特にショパンに、惹かれるものがありました。ショパンを音楽の解説書などでは味わえない生々しさで描いています。生きていくということは、どんな天才でも大変なことだと思います。
サロメ (光文社古典新訳文庫)
翻訳者の平野啓一郎が言っているように、小難しい解説やら詳しい註釈はワイルド専門家の田中裕介センセに任せることとして、ここは宮本亜門という売れっ子演出家による現代演劇としての戯曲、サロメの現代語訳はこうなるという一つの見本のようなものを楽しもう。
ビアズレーの挿絵が特徴的な岩波文庫で、サロメを読んだのは何年も前の事だったが、もともとはフランス語で書かれたもので、本書は、このフランス語からの翻訳らしい。
この翻訳で平野氏が注目するのが、「みる」「みられる」ということ。ヘロディアの近習は若いシリア人を見、若いシリア人とヘロデはサロメを見、サロメはヨカナーンを見ている。預言者としてのヨカナーンは神を見るが、斬首された彼はもう眼を開こうとしない。
そして、唯一、誰も見ていないのがヘロディア・・・・・
確かに新しい訳は現代的に、瑞々しくなっているが、やはり2012年5月末から6月にかけて、この平野訳により公演される舞台を観るのが一番いいのかも知れない。