ビザンツ帝国とブルガリア
ビザンツ帝国というと、ユスティニアヌスやヘラクレイオスの時代や、イスラム帝国との抗争、十字軍、オスマントルコとの抗争などの視点が注目されがちであるが、ビザンツ帝国に住む人々が全時代を通じて外交的に直面したのは、バルカン半島におけるブルガリアとアナトリア半島におけるイスラム勢力との関係である。両者は軍事抗争ばかりをしていたわけではなく、共存する関係にあった。とりわけブルガリアはギリシャ正教に改修したこともあって、ビザンツ世界を構成する重要な柱となっている。
一見アカデミックな無味乾燥な目次だが、内容的には充実している。勿論概説書ではないので、かなり深い記述内容となっているが、研究論文にありがちな、深く狭いテーマを追求した論述の羅列ではなく、きちんと一定したレベルで歴史の流れ、政治機構、農業、産業、宗教、文化、日常生活を多角的に扱っており、非常にバランスの取れた書物となっている。
ビザンツを扱った書物は近年増えてきているが、記述が対象がビザンツ帝国そのものであり、「ビザンツ世界」にふくまれる各国を正面から扱ったものは少ない。本書は、入門書より一歩進んで、民族の成立から第1次帝国滅亡までのブルガリアについて、政治、社会、宗教、生活など総合的に扱っている、日本語で読める唯一の書籍と言える。森安達也氏の「ブルガリア 歴史と文化」もブルガリアの歴史概説書としては良書であるが、第1次帝国に焦点をあてた書物としては、本書が白眉であると言える。
ただし、あまり耳慣れない地名・人名が多数登場し、入門書としては重たすぎるであろう。ビザンツ帝国史は、十字軍登場までが一つの区切りであり、中世前半のバルカン史を概説する新書などがあると嬉しいところである。
高次元存在ラマ・シングに聞く 死後世界へのソウルガイド&ナビゲーション (5次元文庫)
この本は霊体となって非物質界をガイドと共に体験したことを記録したものです。内容的にはガイドとの他愛のない会話で大部分を占められ、非物質界そのものについての記述が少なく、その内容も浅く何か物足りない気がしました。