ベルリン・フィル あるオーケストラの自伝
ベルリン・フィルの歴史である。原題の”Eine Biografie”がなぜ「自伝」になったのかについて訳者が「あとがき」で苦し紛れの弁解をしているが、訳者のとまどいが明らかである。こんな姑息な手は逆効果だと思う。
ジャーナリストというのは「読ませるコツ」をつかんでいるから、本書も非常に読みやすい構成であり、文章である。何となく納得させられてしまうのであるが、しかしそれは危険なことでもある。たとえばカラヤンに対する記述は公正を欠き、著しく批判的であるが、本文で引用された文がおおむねアンチ・カラヤンの本からであることを知らなかったら、上手に騙されるところであろう。しかも参考文献一覧には、バランスをとるかのようにカラヤン・シンパの文献も並んでいるのだ。学術文献のように、引用部分に番号でもつけて対照できるようにしたらよいのだろうが、そんな一般書はあまりみかけない。ここに欺瞞の元がある。如何なる書物にも完全なる公正などあり得ない、と理解はしていても、特定の意見を優先的に引用して強引に持論を展開するのは反則であろう。
他の記述にも、ときどき変な事がある。一例を挙げると、リストがアルトゥール・ニキシュをビューローの後任としてヴォルフに推薦したのが1895年であるかのように読めるが(p.59)、リストは1883年に死去している。「推薦していた」と書かなければおかしい。他にも時間的につじつまの合わない部分がいくつかあり、また、意味不明な訳文がときどきあった。原文のせいなのか翻訳の問題なのかは不明であるが、資料としてみた場合、こういうことは困る。
全体としては大変興味深く読める本であった。内容を吟味せず気楽に読むなら素敵な本である。しかしcriticalに見るなら、本書の内容は結構偏向しているのではないか。カラヤンの記述を読む限り、そう思えるのである。
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
ずっと五島みどりさんのヴァイオリンが大好きだけど、ブラームスのコンチェルトとだけはいまいち関心がもてなくてあまりきくことがなかったが、樫本大進さんのCDを聞いてすっかりブラームスのコンチェルトが好きになった。ベルリンフィルの仕事が忙しいのは喜んでいるけど、彼のCDが少ないのは不満もっと演奏会や、CDを聞きたい。N響とのスペイン交響曲も涙が出るほど感動した。CDになったら最高。
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番
今年にはいって、大進さんにゆかりのある、赤穂市での
コンサートを聞きに行きました。
まるで歌うように、降り注ぐ音色に感動。
ベートーヴェンのソナタ「春」を聞くと、心癒され、春
の風を感じられます。
ピアニスト、イタマール・ゴランさんのピアノも素晴らしい。
利家とまつ ― オリジナル・サウンドトラック
そもそも『大河ドラマ』ファンの自分ですが、今年は特に一度ももらさず鑑ています。オープニングテーマは、NHK得意?の四季の移り変わりを表現した壮大な映像と本当に良くマッチしていると思います。CDがあると聞いて、すぐにみつかり即届けてもらいました。
さっそく聴いてみるや、文句なしの内容でした。そっと眼を閉じれば、ドラマの数々の名場面が次々によみがえってきます。
自分としては、「まつのテーマ」が一番のお気に入りです。
作曲者も指揮もオーケストラも一流で、完成度の高い作品と評価させていただきます。