拒絶空港 (新潮文庫)
去年読んだ『査察機長』にくらべてサスペンス色がてんこ盛りで、著者のサービス精神を感じました。大きなトラブル(今回は車輪の破損と放射性物質の持ち込み)があったときに、機長やキャビン・アテンドがどう対応していくのか、そして交信とデータを受け取る地上のひとたちがどう動いていくのか、どきどきしながら読み進めていけました。
実際に何十年も飛行機を操縦してきた著者の物語だけに、リアリティは抜群です。また、こうしたことは本当に起こりうることなんだと、すこし怖くもなりました。
査察機長 (新潮文庫)
査察とかチェックとかはする側はさておき、される側にとっては何なのか
ラストに新米機長が査察機長から何のための査察なのかを聞かされるが
どんな立場でも通る見事な職業倫理だと思う
こういう倫理を打ち立てられる機長という仕事はすばらしいし
やはり惜しい人を亡くしてしまったな、と思う
パイロット・イン・コマンド (新潮文庫)
ロンドンを夕刻に飛び立ったNIA202便は、137名の乗客乗せて東京へ向かった。シベリアを越え、日本海上空に入り、成田到着まで一時間あまり。あとは安全に着陸するばかりだったのだが、異変はそこから始まった。大音響と共に第2エンジンが火を噴いて爆発し、機体に穴が空き、乗客ははじき飛ばされ、機体は急降下。更に機長は倒れ操縦不能に。この絶体絶命の事態に、いかにして着陸するのか……。
本書は1999年に刊行し、サントリー・ミステリー大賞優秀作品賞受賞した同題作品を新装したものとのこと。特に第2エンジンが火を噴いてからの機内の様子は迫力満点で、リアルな恐怖も感じました。多少展開に欠点を感じる部分もありましたが、6年前の作品としては古さも全く感じませんし、最初から最後まで目が離せず、物語に引き込まれる面白さがありました。