個人的には初めて観たパゾリーニ監督作が本作だった(随分前のことだ)。 その時の最大の印象は‘荒野’。 それはパゾリーニ作品に頻出するイメージだが本作がもっとも強烈だ。カメラはモロッコの荒野を何度もパンしその異世界を見せつける。 元ネタのギリシャのイメージはほとんどない。 そこでの人々のエネルギッシュな姿も(衣装などの風俗も含めて)素晴らしい。市井の人々は現地モロッコの方々。 但し、メインの出演者はヨーロッパ人で占められている。その部分までもアフリカ系の役者で纏めればもっと‘別の’深い味わいがあったかもしれない。
→とはいえ、本作の出演陣は素晴らしい! まず、フランコ・チッティは(もともと浅黒いので)わりあいとネイティブっぽい。適度に素人っぽいところがこの映画のタッチによく合っている。ついでに言えばチョイ役(大祭司)で登場するパゾリーニもすっかり現地に馴染んでいる(笑)。 シルヴァーナ・マンガナだけはもうビックリするぐらい白く、まったく現地に馴染んでいない。だが、それは意識的な演出と思って間違いない。 劇中ではかなりの歳月が過ぎるはずだが、まったく同じ‘この世ならぬ’美しさで登場する(この世ならぬがポイントだと思う)。その不自然さを凌駕するオーラで圧倒されてしまう。(『テオレマ』と一緒に眺めてうっとり…) この凄い表現はパゾリーニの母への崇拝の極端な表れなのだろう。
そして‘母への崇拝(又は父殺し)’も含めて、後年の作品にしたがって過激になっていく異常なイメージが本作辺りから現れる。 (その点、徹底的にストイックな『奇跡の丘』とは大きく異なる) だが、本作は比喩的な表現はある程度抑えられ比較的に理解しやすい展開を(表面上は)見せる。 パゾリーニ作品の中ではもっともバランスよく芸術性と娯楽性が共存しているのではないだろうか。『奇跡の丘』の成功を経て表現者として脂が乗ってきた(上り坂の)時期の勢いがそのまま作品に封じ込められた感じだ。おそらく、一般的な意味でのパゾリーニの最高傑作は本作だろう。 パゾリーニ作品をはじめて観る方には本作を薦めたい。 (個人的には『豚小屋』が一番好みですが)
もうひとつ… 音楽も良かった。ありがちなクラシック音楽だけではなく、バリのケチャックや日本の古楽まで多様され無国籍の異様な迫力を生んでいる。 余談だが、 映像特典の予告編の方にはハリウッド史劇風の音楽が付いており画像と合っていない。笑ってしまった。 おそらく予告編はパゾリーニの演出ではないのだろう。音楽の重要性がよくわかる。
「アポロンの地獄」はイマジカ(パイオニアLDC)から初DVD化されたときのものを所有し、「豚小屋」はイマジカ盤をSPO盤に買い替え、「ソドムの市」はSPO盤(オリジナル全長版)を買って視聴したものの、そのあまりに呪われた内容ゆえに手放してしまいました。しかし、パゾリーニ映画祭で実行委員長を務めた大島渚監督の「難解な作品はまた見たくなる」のとおり、また見たいと思っていた矢先、いかにも妖しげなパッケージで、しかも単品販売せずにボックスの中の1本としてひっそりとカタログ化されていたのに飛びつき購入しました。画質については、SPO盤も良かったのですが、今回のもかなり良いほうだと思います。ただし、旧盤では無修正でバッチリ映っていた部分が、ほとんどボカシが入っています。無修正版でも局部などは作り物然としていてちょっと拍子抜けしましたが、ボカシでもまあしょうがないと思います。 「アポロンの地獄」と「豚小屋」は画質が大変素晴らしいです。特に「豚小屋」はシンメトリーの構図も美しいですが、画質がとてもキレイです。欲を言えば、音声がイタリア語だけなので、英語音声も入れてほしかったです。
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