いろいろな作風を見せる作家だけど、デビュー当時から読み続けている者としては、ここのところ、ついていくのが少し辛くなっています。 もう、あの血湧き肉躍るようなストーリーは読めないのでしょうか。 粗筋はごく単純で、それを文章力で持たせているという感じでした。けっこう露骨に「つづく」という終わり方に見えました。 それにしても、この狛犬は、気が遠くなるほどの時間をかけて肉体を得たあげく、なぜヤンキー並みの行動原理しか持ち合わせていないのでしょうか。いっそのこと、初めての食事や、初めての排泄をコミカルに表現するギャグ小説にしてもらった方が、楽しかったかもしれません。 ファンなのに、きつい表現になって、すみません。
前作「ラティーノ・ラティーノ」で舞台となるブラジルとコロンビアに
実際行かれて取材されてることには敬服しますし、出来上がった「ワイルドソウル」も素晴らしかったです。
ただ実際行かれたにもかかわらず、作品中に出てくるスペイン語に(きっとポルトガル語も)あんまりな間違いが
いくつか出てくるのが悲しいです。そのくらいちゃんと調べて欲しいし、幻冬社の編集さんにも猛省求む。
元ネタとしておいしく使い倒した移民の話しも、日本でのコロンビアマフィアの話しも
その重さを作品に利用してるだけで、細かい嘘や誇張も多い。娯楽小説にこんなこと言われても作者は心外でしょうが。馳星周がどこかで推薦していたので読んだのですが、さもありなんと思いました。
とにかく楽しめる事は請け合います。ただ重い事実を商品として美味しく利用するに当たって、脇が甘すぎるのが難点。
垣根が書いた作品はこれまで全て読んでいますが、悪くはない出来だと思います。
ヒートアイランドシリーズにも、君たちに明日はないシリーズにもしばしば見られる垣根の人や人生に対する冷静な考え方に焦点を置いた作品だと思います。
(システムの人間だとか、思考する人を辞めた人や社会への考え方など)
それらを昨今話題となっている小笠原のユニークさを舞台にして描くことで、作品に奥行きを出させています。
ただし、小笠原のユニークさを反映させたいがためか、作品の後半はやや消化不良な印象を受けます。
とは言え読後、自分について考えさせられる内容であり、個人的には周りに読書を進めてみたい内容です。
ギャングスターレッスンで登場したヤクザの柏木が久々の登場。今後のヒートアイランドシリーズでの登場を期待せずにいられません。
1作目からの文庫読者。 男性主人公は退職勧告面接会社の社員。 恋人からは,心中「ロクデナシ」と呼ばれる。 恋人と「張り込み姫」は無関係。 「張り込み姫」は三作目最終話の標題。 3作目になり,一層このロクデナシの輪郭が明確になるとともに, 「君たちに明日はない」としつつ、別な明日に目を向けさせる。 主人公を軸に短編で構成されている。 エンタティンメントなので,ストーリーはスピーディーかつ簡潔。 私には合っていたので,3作目文庫版を待っていた。
この人はほんとにブラジルとかコロンビアとか南米が好きなんだなぁ…って思いますね。
どの作品を読んでも南米とコカの話に絡ませてきます。
その作者の興味なんかも垣間見えたりなんかしちゃったりして面白いんですが、話の骨子はそこにはなくて…
クソまみれの唾棄すべき反吐の出るような戦後日本の外務省の姿勢、苦渋を味わわされた日系一世、二世の怒り、話の根元はそこ。
読みながら怒りを覚えることでしょう。これは良く調べて作品を練り上げていると思います。
た〜だ、この作品はそれだけじゃないすよ。ヒートアイランドとか、サウダージ、午前三時のルースター等他の作品では見られない、ただのバイオレンスだけじゃなく、主人公たちだけがカッチョイイわけでもなく、登場人物一人ひとり、立場の違う人間とその景色、珍しく女性の成長と強さまで描き出す。
それぞれの思惑と、そこまで考慮された完璧な計画とトラップ、めまぐるしい頭の回転。これはすべての作品に共通することですが…、リアルな人物描写にこれまでにない人物たちの独自な、あるいは地味な格好良さと強さを見てください。ほんのチョイ役の登場人物までいい味がにじみ出てる、これはい〜い作品だ。
下巻まで読まないとわかんないかもしんないです俺のこのレビュー。申し訳ない。
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