今はどんな演歌を聞いても、メロディーが似ている。 しかしこの歌は時代を感じ、こうゆう歌い手さんは、演歌界には、もう居ないでしょう。 歌は3分間のドラマと申しますが、正に、お芝居を見ているようです。
堀内道場の四天王として、その名を世にとどろかせている中山安兵衛 (嵐寛寿郎)は、天涯孤独の身ながら、菅野六郎左衛門(東野英治郎)と 伯父、甥の契りを結んでいた。ある夜、菅野の元に、かねてより遺恨が あった村上兄弟から果たし状が届く。決闘の時は明朝、場所は高田馬 場。多勢の村上一味に対し、菅野の助太刀は2人のみ。菅野は、自分 の死を覚悟し、中山宛に手紙を認め、下男に届けさせるが、生憎、中山 は不在。そうしている間にも、決闘の時間は刻々と近づいて来る…。
中山義秀の原作の映画化作品。小説、講談、映画などで有名な「高田 馬場の決闘」に材を取った作品だが、旧弊なチャンバラ活劇でもなく、ヒ ロイズム称揚でもない、新しいアプローチのリアリズム時代劇だ。GHQ の「チャンバラ映画禁止令」が撤廃された後の、それまでとは違う道を模 索し始めた新時代劇と言っていいだろう。いつも痛快なチャンバラ・ヒー ローを演じていたアラカンにとっても、悩む侍というのは、珍しい役柄だ。
手垢のついた題材ながら、チャンバラそのものを根本的に否定しかねな い、人を斬ることの重み、斬り合いの虚しさ、斬られた側の家族の無念さ などを全面に押し出しているあたりが異色。そういった意味では、西部劇 における『拳銃王 [DVD]』、『許されざる者 [Blu-ray]』と同じような位置を 占める作品だ。佐伯監督は、じっくりと細やかな演出で、登場人物たちの 心の機微を捉えている。決闘後に悶々と悩む中山の描写もいいが、前半 の菅野とのやりとり、お春とのやりとりの絶妙の間から生まれる、人間的 つながりの温か味が、何と言っても素晴らしい。もちろん、それらは、演出 だけでなく、アラカンと東野、北見の血の通った演技あってのことであるの は言うまでもない。
本DVDは、国際放映(=新東宝)のマスターを使用した正規盤。かつて発売 されていたVHSと同一のマスターらしく、キズも多く、白黒諧調にも乏しい レストアされていない画質だが、特に鑑賞に支障はない。音声もノイズがあ るものの、全体としては明瞭だ。何より、高い日本映画クラシックが、この 価格で手に入ることが嬉しい。
音もよかったし、曲も良かったです。おじさんが尺八の練習に使った際によかったそうです。
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