自問自答のように戦う意味、武器を手にする意味を朴とつな言葉で語り合う青年行動隊もいい。 機動隊との対峙を非日常として楽しんでいる印象さえ与える婦人行動隊もいい。 自分の農地を守るという単純な理由が分かり易い人間味ある行動に表れているのもいい。
こんなにアップでいいのかと思うくらい農民や機動隊員の顔を捉えるカメラワークもすごい。 東南アジアの開拓地のような50年前の三里塚の風景(特に最後のヘリからの撮影)もすごい。
映画を見ただけでは判りくかった背景や撮影テクニックの解説も一読の価値がある。
久しぶりに、目をひん剥いて食い入るように観て読んだ。
成田闘争というと、隅谷調査団の宇沢先生が書いた岩波新書の「「成田」とは何か」が、公開シンポジウムと円卓会議までを中立的かつ会議に参加した反対派に好意的に書いた本として、何か闘争全体を書いた代表的な本になっているように思える。 北原派というと、いまだに抵抗を続ける、シンポジウムで条件派になっていった熱田派に比べ、中核派寄りで頑固な印象を受けるが、その代表者である北原事務局長が元は自民党寄りの保守派であり、地元の交通安全委員会の代表を務める人であったことを本書ではじめて知った。また、大東亜戦争からの復員兵であり、塹壕を掘っての闘いにも、そうしたプロの経験が活かされ、農民の発想だけではなかったこともわかった。 熱田派に対しては厳しい批判や性格批判などもあり、熱田派に近いと思われる第四インターが主体となって行った管制塔占領破壊事件のこともあっさり書かれている。シンポジウム後に時の運輸大臣に土下座をした裏切り者のことも厳しく書いている。 通して読んでみて、思うに、最初の一方的な閣議決定が最大の起因であるが、この土下座こそ、円卓会議以降もくすぶり続ける反対闘争の根源ではないかという気がした。レビュー筆者の見解であるが、土下座する方が逆である。小田原攻めに遅れ散じた伊達政宗か、大阪城で服従の体をみせた徳川家康か、そんな風に気取っていると見えたのではないか。こうした裏切りは、土下座した本人の真意を離れ、どれだけ金を積まれたのかというような演出の印象を拭い去れないであろうし、心の傷として、反対派に残る人々に一生忘れられないものを残すように思う。一般市民でさえ、例えばサラリーマンが、上司、仲間、部下などに裏で動かれ、功を独り占めにされるようなことがおきれば、一生に近い傷を引きずるものである。 レビュー筆者は反対派に好意的な立場ではなく、成田空港の健全な発展と、いまだ抵抗を続ける農民を含め周辺農民の幸福の両方の幸福発展を願う者であるが、成田闘争を理解する上では、中立的な宇沢先生の著書より、主観的な本書の方が有用であると実感した。また、文体からも、過激な風評しかない北原事務局長が相応の人格者であるという印象を受けた。
主に68〜71年の、最も闘争が激しかったという時代のモノクロ写真が中心。
スクラムを組む農民達、「空港反対」ヘルメの小学生達、糞尿爆弾、
混戦のなかに朦朧と立ちつくす白髪の老婆、ゲバ棒とジュラルミン盾が乱れ入り交じる、
放水を受けながら旗をふる反対同盟員、つかの間の休憩に茶をすする農民達、
機動隊の盾に木の棒で立ち向かう子供、滑走路まで達するゲリラトンネル、
各所での反対行動、炎上する三里塚交差点、
などなど・・・。
壮絶な闘争の概要を力強い写真と解説で読み解いていく。
多くの左翼党派が参戦したこの社会問題は、左翼陣営内の対立や、用地収容委員の襲撃というような、第三者の理解を得がたいような事件も発生したし、闘争場面では多くの機動隊員が火炎瓶で重傷を負ったり焼死したり、反対同盟員側も多くの負傷者を出しているという、「国家暴力への抵抗」というキレイごとだけでは語れない暗黒面も孕んでいる。
主に抵抗を続ける地元民達の立場側からの著述がされており、農民として生きる尊厳と自由を勝ち取るための闘争であるという、本来の意義を伝える内容となっているのは的を得ていると思う。
ただ、やはり上記したような過激党派と深く関連した反対運動であったと思う。現在でも続いているこの運動において、そうした党派との因縁を払拭していくのか、それとも共闘していくのか、いずれにしても、その総括が読者に伝わらない事には、この本の価値が明確にならない・・と僕は思った。
そういう些細な部分を気にしなければ、なかなかの史料として読めると思います。
レビューというか、読んだ感想です。
本の中で紹介されている方の人生と成田空港の歴史を 照らし合わせていける本でした。
この本で紹介されている方の一人である、 島村さんの人生を読み、10年以上の苦労を重ねて 人力で土地を開拓した開拓した土地、 消費者のことを思いやり無農薬栽培で食べ物を育てる土地 にたいする礼節を尽くした人が 行政、政治家、新東京国際空港公団、空港利用者にどれくらいいたのだろうか? と考えさせられました。 また ダム建設、米軍基地設置(沖縄、佐世保、横須賀、三沢などなど、原子力発電所、六ヶ所村核廃棄物処理場建設などなどの問題と共通することがあることに気づかされました。
一部の権益優先、少数弱者攻撃、 自然の恵を無視、お金にとらわれた心、 長期的、効率的計画性の欠如 国民が政治からの分離、国民の無関心 情報操作、警察などの国家権力による武力制圧 といった目をそむけたくなる部分と 思いやりをもって「農」にとりくむ方の思いやりの心、未来への希望 両方が読み取れるかもしれません。
2009年今も工事は続いています。閣議決定から43年間まだ問題は続いています。 まだまだ「現在」おこっていることです。 成田空港から飛び立っている自分は関係者であり、千葉で活動する者として この本を読んで本当によかった。知らなかったら地元の人に顔向けできない。 さりげなく、この本をかしてくださった方に感謝。
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