録音の素晴らしさをまず感じました。ヴィルトオーゾ集団のシカゴ交響楽団ですから金管がよく鳴っているのは当然として、弦の艶やかさや木管の抜けもよく、1991年度のレコード・アカデミー賞受賞盤であることの評価は真っ当でしょう。パーカッションの細かい音まで明確に拾っており、『惑星』にこんなパートがあったのだということを知るぐらいに新たな発見をした録音です。 1989年6月のシカゴのオーケスラ・ホールでの収録ですが、ドイツ・グラモフォンの録音技術の高さを証明していました。
ジェイムズ・レヴァインは『惑星』の持つ華やかさや煌びやかさ、そして各曲の持つダイナミックレンジの限界までオケを鳴らしていますので、大音量で聞けば部屋の空間が音に包まれる「宇宙的な」サウンドを体験できると思います。
第1曲の「火星―戦争をもたらすもの」での4分の5拍子のリズムが、ある種の原始的な野蛮さを持って襲いかかってきて、生理的な気持ち良さを生みだしていました。このくらいの荒々しさがこの曲の本質を表すのでしょう。 第2曲の「金星―平和をもたらすもの」でのヴァイオリンのソロやホルンや木管の音色が甘く美しく旋律を奏でており、聴き惚れました。調性を重んじるホルストですが、このように転調を重ねて、音を万華鏡のように変化させることによって色彩豊かな光沢を生み出しています。 第4曲の「木星―快楽をもたらすもの」も金管をビックリするほど鳴らしています。欲を言えば、弦をもう少し前に出してほしいです。若干荒い感じを受けますし、中間部はもう少し懐かしくたっぷりとした奏法の方が好きなのですが。 第7曲の「海王星―神秘なるもの」の合唱指揮マーガレット・ヒリスによるシカゴ交響楽団合唱団は、音程も正確でこの不協和音の織りなす宇宙の深遠さを見事に表現していました。この女声合唱のパートは大変難しいのですが、曲の雰囲気をよく醸し出しています。
オクタヴィアレコードのエクストンなので、音質はやはり高音質です。 HybridCDの惑星で5,1chにも対応しています。 全体としてはゆっくり目に聞こえますが、(メータが早いだけかも・・) 山場は伸ばしているのでメリハリがきいた感じです。 ただ個人的感想は、他の惑星と比べると迫力が劣ると思いますので、 カラヤン、メータなど大御所の、惑星を聞き慣れている人には物足りないと思います。
おまけ(?)として「日本組曲」も入っていますので両方聞きたい人、 惑星を高音質で聞きたい人にはおすすめです。
ベルリンフィル×ラトルはやはりすごい。
壮大な銀河の只中にこの身を置いているような気持ちになれる。
冥王星つきなのが面白い。
格下げになっちゃった記念に、クラシックファンならおさえておくべきだと思う。
今聴けば表現の古さや迫力に欠ける部分が目に付かないでもないが、当時はその多彩な音の世界に聴き惚れたものだ。なによりアナログ・シンセを使いこなせばここまでできるという、「動かぬ証拠」を提示した冨田氏の力量に圧倒された。ブックレットの文章もなかなかの名文。
CDでの発売を目論見、デジタル録音したカラヤンの「惑星」だが、ザビーネ・マイヤー(Sabine Meyer)事件や台湾事件でベルリン・フィルとの関係が悪化したせいか、61年のデッカ録音と比べて、演奏自体に緊張感や迫力はみられない。旧録音と比較していいところはデジタル録音のために、音がクリアな点のみだと思うが……。
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