この作品を史実、事実、歴史、として捉えるとラストサムライのように文句を出す者も出てくるだろうから、あくまでも映画の中の白人とインディアンと思った方が無難だろうね。両者の関係は複雑だろうし、あれが全てじゃないのは明白だから。
まぁ脚色した作り物ということで。 っと、割り切れれば、そこそこの感動が待っています。
ダラダラ長いと感じるのは初見時と変わりない印象ですが、単に、人種、文化、習慣、言語、が違う男達の友情物語として観られればこれは良い作品です。この作品の意図するところはそこではないでしょうけど、例えるならライバル校同士の壮絶なサッカーの試合の後、結果はどうであれお互いを称え、すがすがしくユニフォームを交換するというような、ちょっといい気分になれる作品かな。
風景美は文句なし。 恋愛が蛇足っぽいけど、あれはあれで良しとしますか。
コスナーより、主要インディアン2人が良かったね。
50~60年代のハリウッドで大きなウェイトを占めていた西部劇。 一時代を築いたこのジャンルも、ネイティブアメリカン=ヒールと云った公式が問題視され始め、そのテーマを失い凋落の一途を辿った。 代わりにマカロニ・ウェスタンがもてはやされたが、余りのワンパターンさに観衆も飽きてしまった。 数十年の時を経てケビン・コスナーが私財を抛ち挑戦した全く別の視点から描いた「もう一つの西部劇」がこの作品。 ここでは白人がある種のヒールとして扱われ、それが逆に共感を以て受け入れられる結果となった。 文明が発達し過ぎた現代にあって自然回帰への憧れも手伝い、コスナーの代表作として未だに高い評価を受けている。 第63回アカデミー賞で最優秀作品賞を始め7部門、ゴールデングローブ賞等を総ナメにしたのも記憶に新しい。 嘗ての戦闘シーン中心の西部劇とは違いヒューマニズムに焦点をあて、大自然をバックに真の男の友情と葛藤等が見事に描かれている。 観ている我々もいつの間にかスー族の仲間となって、未だ汚れを知らなかった西部の大地を駆け巡るのだ。 題名の「ダンス・ウィズ・ウルブス」は主役のダンバー中尉がスーの仲間からつけられた名前。 「名は体を表す」とは言い得て妙。彼らの素朴な生活習慣が凝縮された素晴らしい哲学だ。 このバージョンでは劇場公開時に割愛されていた重要なシーンが多数追加され、監督自身が描きたかった物語の核心をより理解し易くなっている。 ジョン・バリーの楽曲も劇中の大自然をより一層スケールアップしていて何とも素晴らしい。 監督・主演のコスナーは勿論、脇を固めるグレアム・グリーン他が実に素晴らしい味を出している。 ここに登場する「白人側」を現代に置き換えると、アメリカは中東の地で似た様な事を繰り返しているのではないか? 兵士達に罪は無いが、あの国の歴代指導者達は余程に「ダークサイド」好きらしい…。
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