いままでも劇伴のクレジットで何度も見かけていたお名前ですが、『仮面ライダーW(ダブル)』で中川幸太郎さんの音楽が強烈に気になり始め、2005年放送のこの昼帯ドラマも担当されていたと知って飛んできました。
やはり数々のヒーロードラマを手がけておられるだけのことはある、スリリングな振幅を持ったキレのいい音楽集です。
08年のNHK朝ドラマ『瞳』のOPテーマでトロンボーンを聞かせてくれた中山英二郎さんが弟さんだというのもこの盤を聴いて初めて知りました。今作でも、たっぷりとした柔らか味のある、かつ逞しい音色で、特にM−05『恐悸が薫る』、M−07『秘めた夢』など、ややグルーミー寄りのチューンを彩ってくれています。
トロンボーンに限らず、管楽器には独特の温もり感があり、ピアノやストリングスの怜悧な音と好対照にしてナイスマッチですね。
人間の“息づかい”が音になるからでしょうか。
ジャケにノーツ的なものが何もないのがちょっと淋しかったので★ひとつ減、です。
「冬の輪舞」を見ている方々で、この作品に興味をお持ちになっていらっしゃる方も沢山いらっしゃるだろうが、あのドラマのイメージをこの本に持ち込むとがっかりする。しのぶも千鶴子もテレビの前半のイメージのままであり、新太郎、大丸、則子はテレビのイメージとは少しかけ離れている。 しかし、ストーリー自体は面白いので、ドラマと対比しながら読んでみては。
ドラマ全体では前半の出来の方がよいと思います。
後半、特に最後の方はメロドラマみたいに、やたらと紆余曲折させて時間稼ぎをしているような印象を受けます。 それは、前半でヒロインの相手であるキム・チョルスの人物像がやや曖昧だから。
彼はかなり子供っぽい男です。 ウニョンが金を出してくれたのが我慢出来ない、と言うところから始まって、 彼の書く文章がやたらと気取っているとか、イ・マリに対して素直でないとか、いろんな所に幼児性が表れています。 特に彼がいかにもインテリの批評家のように、現実に対して距離を置いて安全な場所からつべこべ言う際に、 台詞の後に「え〜」という合いの手を入れるところは笑ってしまいます。
しかし、一方で、大人のような行動もあり、イ・マリとの関係がうまくいかないのが 彼の幼児性故だということが明確に描かれないために、いささか混乱しています。
イ・マリは常に一貫していて、ぶれることがありません。 本来このドラマは、そういうイ・マリによって、曖昧模糊としたキム・チョルスが次第に成長する物語であった筈です。
彼が恋愛を通して、どうにもならない自分、そして自分の幼稚な部分を自覚し、現実としっかり向き合い、 そこから脱却していく、という展開であれば、説得力は全く違ったでしょう。 脚本の所為なのか、演出の所為なのか、演技の所為なのか、その辺はよく分かりませんが、とても惜しいです。
しかしながら、そんな訳で、完璧、とは言い難いながらも、 イ・マリ=チェ・ジウの存在は後半に行けば行くほど魅力的で、色あせる事がなく、最後まで楽しめます。
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