物語はファンタジーなのだが、ツナグが、まだ見習いで、ツナグになるかどうかも決かねているという設定は上手い。痛みを伴うテーマを真摯に、しかし生々しくなり過ぎずに描き出す事に、幾つかの問題点を抱えながらもある程度成功している。3組の再会の物語は、幸福なものもあれば、そうでないものも。見習いツナグの迷いは、ツナグの役割やその結果が不幸につながりはしないかと案じながら映画を見守る観客の不安に重なります。 身近な死によって心に喪失や傷を抱えた者が、あえて死と向き合う事で、新しい一歩を踏み出すというのは、表現の方向性こそ異なるがクリント・イーストウッド監督の「ヒア アフター」などとも共通するアプローチですね。
主人公の渋谷歩美を松坂桃李が演じ、祖母のアイ子を樹木希林が怪演。各エピソードの依頼者と死者を、それぞれ遠藤憲一、八千草薫、橋本愛、大野いと、佐藤隆太、桐谷美玲が演じています。八千草薫は別格としても、嵐美砂を演じた橋本愛が「桐島、部活やめるってよ」での、あまり表情を変えないクールな美少女役の印象から、本作の感情むき出しの絶叫芝居は新鮮でした。新境地ですね。
いい意味でも悪い意味でも、物語のアプローチに少々少女コミックのような甘さ稚拙さを感じますが、観る者に多くの重い問いを投げかけ、そのテーマの普遍性故に心に残る作品となっています。惜しむらくは、テーマにつながる核心部分のほとんどを、台詞とモノローグという安直な手法で表現してしまっており、映像言語が決定的に弱い事と、構成的にそれぞれのエピソード間の有機的繋がりが十分でなく、一本の映画としてのドラマチックな物語のうねりが生まれていない。仮に、言葉で言ってしまっている部分を、映像で物語る事が出来ていれば、本作は大変な傑作になり得たかもしれない。
表紙があまりにポップでキュートなので若い女性の本と
決め付けていましたが…この(6)はなかなかどうして…
パラッとみて、いつもさりげなく嬉しそうに着物を楽しんでいる
樹木希林さんと特集がでていて、思わずレジに並んでました。
樹木さんだけではなく、ふだんから着物を知り尽くした
様々な分野の方が特集「キモノ 春夏秋冬」に登場。
その大トリに、先日なくなられた高田喜佐さんが笑顔で
載っておられました。喜佐さんは私達クロワッサン世代に
とっては憧れの女性。病気の中での取材だったのでしょうに
構えることない自然な笑顔と着こなしは流石と思いました。
特集最期のページ左下に「春夏秋冬…ひとまずオワリ」の
文字と一緒に、喜佐さんの粋な後姿が…
思いがけないところで、喜佐さんとお別れできた気に
なりました。
型にはまったキモノからの脱出を図りたい人にも
良い刺激になりそうなこの(6)
楽しく着られることも、とても大事と思うこの頃
ぜひ、表紙にびびってないで、手にとってご覧あれ…
これで「ムー一族」と合わせて「ムー」シリーズがDVDにてコンプリート出来ます。 このように過去のドラマなどのコンテンツがパッケージ化されるのは良いですね。著作権等の処理が困難なケースもあるようですが、ぜひこれからも積極的にリリースしていただきたいです。
『ツィゴイネルワイゼン』…
初見は20年以上前だろうか?。当時洋画ばかり観ていた私が意識して邦画を観た始めての映画だったように思う。その時のメディアはVHS。
筋はちっともわからないのに不思議なオーラの酔わされ、以来LD、DVD、とメディアを変えて楽しんできた。
(残念なことに銀幕では観たことないのだ…涙) それがとうとうブルーレイである…。感慨深い。
当然購入し、鑑賞。やはり三本とももの凄く楽しい。幸せである…。
わたしにとってこの映画は‘原点’とでもいえるもので、いまでも冷静に分析したりできない。…ひたすら好きである。
(もちろん『陽炎座』も『夢ニ』も同様)
といったわけで、作品自体の評価は★10個でも足りない。
さて、
せっかくのブルーレイ。やはり画質の向上が気になるので早速手持ちの『デラックス版』三本と比較。
まず『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』は画質向上がはっきりと感じられる。
服、表情、皮膚の質感等々、細部がかなり見えており違いははっきり。画面のガタツキや小さなゴミ等も取り除かれかなり良い感じである。
…また、若干色味も違う感じである。(これに関してはデラックス版のやや青が強い色味のほうが私は好みである)
『夢二』については大きな変化はないが、やはり細部はよく見えている。
色味に関しては今回のHDリマスターの監修が藤澤順一氏(『夢二』『カポネ大いに泣く』のカメラ)であることも影響しているかもしれない。
といったわけで、画質の改善と色味の変化は確認できたが、何しろ古い映画であるので劇的な変化とまではいかない。
(この変化はブルーレイによる改善なのかHDリマスターによる改善なのか正直よくわからない)
ソフトの仕様については、簡素そのもの。
封入物はポストカード三枚程度。しっかりとした造り・デザインの外箱はなかなか良好なのだが、各ソフトのジャケットデザインは(…基本的には悪くないのだが)正直に言って「また、この写真かぁ」といった感じだ。新しいデザインを採用して欲しかった。
映像特典も予告編と静止画ギャラリー程度。他の方が指摘されてるようにチョッと寂しい。
(『デラックス版』は特典が豊富だし裏話満載の製作荒戸源次郎によるコメンタリーが楽しい)
そんなわけで★を一つ減らしました。
といったわけで、商品としては若干詰めが甘いと思いますが、画質の改善等は確認できましたし、なにより清順監督作初のブルーレイでもあるのでファンの方にはお勧めできるのではないでしょうか。
誰が、なにをどう喋っている以前のせつなさが本書にはあります。自分らしく生きているだけで犯罪者や嫌われ者になってしまうような、ある種の業を担っている人がこの世にはいるのだなぁという無常観を強く感じてしまいました。吉田豪の本は、どれもそういった読みごたえがあります。お勧めです。
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