吉村さんが生前に書いていた公式ブログの中に、「すべては執筆優先。執筆の進行状況次第で睡眠が決まる」「執筆が佳境に入ると睡眠時間はメチャクチャになる」というような一節があったのを思い出した。 そんなに頑張りすぎたからがんになってしまったんだと思う。中年になったら睡眠時間を削ってまでして仕事をしたらがんを誘い込むようなもの。健康を顧みなくなるほど、創作活動にのめり込んでいたのではないか。合掌。
カラオケで必ず歌っていま。とてもすばらしい曲です。ぜひヒットしてくれると良いですね。
吉村作品の主要シリーズ物のひとつである温泉シリーズ。 読んでいるうちに現地を旅行したくなりますよ。 ちなみに大きな伏線はプロローグから張られていますのでご注意を。
やはり良くも悪くも「吉村達也」の雰囲気があります。 多少マンネリを感じなくも無かったです。 また、なかなかテンポが良かった気がしますが、 最後の最後でかなり失速しました。 つまらなくは無いですが、著者の本の雰囲気はもう十分味わった、 と言う人は読まなくていいと思います。
死刑囚を抱える刑務所での「支え役」という仕事にスポットを与えた作品。2007年上映。原作は吉村昭の同名小説。出演は小林薫、西島秀俊、大塚寧々、大杉蓮など。映画「おくりびと」の納棺師と同じように、世間一般ではあまり知られていない刑務官という職業。しかも死刑執行にあたって発生する「支え役」という仕事があることを知っている人はほとんどいないと思います。その「支え役」を担当した刑務官は1週間の休暇がもらえる規定があります。
中年の刑務官(小林)は子持ちの未亡人(大塚)と結婚することになりますが、そのタイミングで死刑囚(西島)の刑が執行されることに。上司は結婚を控えているのだから支え役は免除ということで配慮してくれますが、なぜか中年刑務官は支え役を志願し、その代償として得た休暇を新婚旅行にあてます。配慮を無下にされたことで怒る上司、そしてなかなか懐いてくれない結婚相手の連れ子。ありきたりの表現ですが「生と死」について考えさせられる作品です。刑務所の刑務官というと勝手なイメージでは、厳格で冷たい印象をもってしまいますが、実際には人間ぽくて、当たり前のように優しい。
小林薫も西島秀俊も難しい役を淡々と演じています。したがって映画そのものは実に粛々と進行します。死刑の執行場面も極力感情を抑えた描写だけに、逆に人の死が訪れることへの重さを感じさせます。ふだんは温厚な死刑囚でも、まさに虫の知らせなのか独房で暴れるのは、「生への渇望」なのでしょうか?刑を受けることを悟った西島が小刻みに震え続けるのはどんな凶悪犯でも起こり得ることなのでしょうか?そして、新婚旅行中も刑の執行が頭から離れず、思わず嘔吐してしまったのは、死への手助けをしてしまったことへの表現しがたい感情なのでしょうか。
実に重たいテーマをもつ作品ですが、救いは西島から絵を受け取るシーンと、連れ子の肩に手をかけながら夕暮れの町を歩くラストシーンです。何でもないような日常の中に潜んでいる「生と死」について考えさせる作品です。
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