救われない話だ。 期待は報われず失意に変わる。 希望は裏切られる為に存在する。
特に印象的なのは第二話「友達」。 少女が刑務所で再会したのは孤児院時代の親友。 囚人たちに日毎陵辱され生き地獄を味わいながらも、不遇な少女は壁越しの友に慰めを得て、「一週間生き延びれば再び馬車が迎えに来る」と信じて待つのだが……
彼女が聞いた友の声の正体はなんだったのか。 絶望の淵の妄想か、 苦境の友を救わんとした天の声か。
けれども他の少女より多く生き延びた事で彼女が体験したものは更なる生き地獄と想像を絶する苦痛。だとすれば少女のもとへ舞い降りた救済の声は、ドレスを引き裂かれた友の復讐だったのか……。
悲哀、絶望、慟哭、戦慄。
読後、鬱屈した想いが残る。 残虐の一言では片付けられない。 単なる悪趣味ではない。 この作品に何らかの救いを期待して読んだ者が激しいショックを受けるのもわかる。
けれども、真実における救いなんてものはそうそうない。 善良な者が必ずしも報われ幸せになるとは限らないのが現実。 悲劇のはてに必ず救いが訪れるというのは虚構の上に成り立つご都合主義、 「そうあってほしい」と願う読者の勝手な思い込みに過ぎない。
勧善懲悪のカタルシスが得られぬ虚構もまた存在する。 この作品における孤児の少女が象徴する弱者は、権威ある者が提唱する社会秩序を守る為の「生贄」として犠牲になる。 それこそが虚構の裏にひそむ、誰もが目を背けたがる現実の一面ではないか。 私達が卑劣にも目を閉じて背けて無かったことにしたがるそれこそ、真実の一旦ではないか。
少女達を襲う運命は確かに酷い。 だが、現実の方がもっと酷い。
別冊アフタヌーンに連載していたものをまとめたものです。 無限の住人のシリアスな時代劇とはうって変わった、ギャグラブコメ現代劇ドタバタドロドロ人間模様(?)が展開されてます。私としては無限の住人はさほど興味がなかったのですが、こちら出てくる人達、とくに女性達がとても魅力的でいっきにファンになってしまいました。これからもこの路線でも書いて欲しいです。特徴のある絵柄も結構現代劇にもあってるように思います。 無限の住人に興味の無かった人にもお勧めいたします。
第2巻。
って2巻で終わりかよっ!
今回は化野元サイドと沖進次サイドと分かれてストーリーが進行します。
元の娘(かなりヤバい子)とか新たなデバイス人形のエンタニルなどが登場。沖サイドはなんていうかもう作者のやりたい放題やってる感が凄まじく、この展開についてこれるかどうかの爆走っぷりがこの作品の良い所。だが逆に地に足がついてないSFチックな流れ(後半は全部そんな感じ)は沙村広明の現代劇ファンとしてはちょい残念に感じた。
なんだかんだで最後は締めました。
河原で無職の40男と大喰らいの少女と他とのだべり漫画から世界滅亡の危機を救う漫画に変貌したのは驚きでしたが、小ネタを仕込むのは絶対に忘れない。特に笑ったのは「国家も同じだ」「このリア充王が!!」「怖ええええェェェェーッ!」。
読んでいてふっと笑ってしまう・・そんなマンガでした。
かれらのだべってる姿をもっと見たかったけど楽しい時間をありがとう、沙村広明!
全高約280ミリ。 顔も素体も傷だらけの『万次さん』。
何しろ特徴的なのが、劇中でも随所で登場する数々の得物がぎっしり付属している点。 万次さんと言えば四次元ポケットならぬ四次元着物。 そこに収納されている得物が多数付属とあれば、ファンとして嬉しい限り。
頻繁に登場する「妹守辰政」「四道」「烏」はもちろん、「阿吽」や「無銘(鎌が鎖で繋がっているやつ)」も標準装備。 更に レアな「小天狗」や「男転」等々が付属。 …まぁ、とにかくたくさん物騒なものが入ってます。「妹守辰政」は、ちゃんと接続できてビームナギナタみたいになります。
肝心のフィギュアの方ですが、造形は結構いい出来だと思います。 特に 顔が◎。 目つきと口元が不敵で非常に良いです。 白黒の着物は 劇中のイメージと比べ、ちょいと布が厚めな感じ。もうちょっと薄い布で ダラリとなってれば 尚善しですかね。 ちなみに、襟や裾に沿ってワイヤーが入っているので、着物にも表情がつけられます。 各関節の可動域はまずまずですが、劇中の剣劇で描かれる奇想天外な戦闘シーンを再現するには不十分。 どうしても、写真のような戦闘前の立ち姿になりがちです。
…とは言え、ファンであれば結構納得いくんじゃないでしょうか? 自分は、スタンダードに「辰政」を腰に差し、「四道」を左手中指でくるりと回している姿で飾っています。 結局のところ、カッコイイです!
短編集なのに連作ものが半分くらい占めているので
ショートショートの続き物を読んでいる感がしてならない。
とはいえ、作者と同年代にはウケがいいと思う。
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