はやぶさ/HAYABUSA デラックスBOX〔初回生産限定〕 [Blu-ray]
「流行り物に飛びついて…」という先入観は排除したうえで見て欲しい、リスペクトあふれる作品。「完コピ」という触れ込みの通り、運用室の細部にいたるまで本物とそっくりそのままです。時系列に従ってポスターなどが変化していますので、そこを追ってみるのも一興です。管制と臼田さんとのやりとりなど運用の様子も地味ですがリアル。特にプロマネを演じる佐野史郎さんの演技はまさに本物の川口先生そのままで素晴らしい。また、本物の「中の人」もカメオ出演されています。
この作品では2つの山場があり、1つめは打ち上げシーンで2つめは帰還シーン。2つめは言うまでもありませんが、1つめは序盤で描かれた打ち上げまでの様々な苦労が結実する場面。地元の住民たちも総出で色んな場所から見送る光景はとても感動的です。どちらとも実写とCGのカットが半々ほどで使われており、クオリティも申し分なく非常に見応えがあります。イトカワへのタッチダウンシーンも、砂礫がゆっくりと放物線を描いて弾き飛ばされる様子など非常に「宇宙」感があります。
ちなみにはやぶさは喋りません(笑) 某記事で「アニメ声でしゃべり出す」という本当に観たのかとても怪しいコメントが載っておりましたが、あれは劇中で主人公の水沢恵が描いた絵本の本人によるナレーションです。水沢恵はオリジナルキャラですがちゃんと実在のモデルが複数存在し、「はやぶさ君の冒険日誌」という本も実在します。JAXAのサイトで公開されているので気が向いた方は検索してみてはいかがでしょうか。劇中では専門用語がバンバン飛び交いますが、字幕やこの「はやぶさ君」のおかげで難しい用語もなんとなく把握できる構成になっています。
とべた褒めしましたが、不満が無いわけではありません。1回目のタッチダウンの状況説明、帰還時のビーコンなど「ここは是非描写して欲しかった!」という部分はあります。ただ、知れば知るほどニヤリとできるシーンが満載なので、はやぶさ関連の書籍を読んで「あれはこういう意味だったのか」と探ってみるのも面白いのではないでしょうか。どちらが先でも楽しめると思います。また、プロジェクトメンバーの皆さんが参加したオーディオコメンタリーや特典ディスクは第2の本編と呼ぶに相応しい面白さ。
*はやぶさ映画はこのFOX版の後に2つ公開されます。本作は「完コピ」、他の2作は「プロジェクトX風」「ファミリー向け」という相互補完的な作り分けになっていると思いますので、色んな層をカバーできるのが醍醐味ですね。
Cross Hearts
ダンディーで男前な本田雅人。天は二物を与えた。もう聞くだけでホンダワールドに引き込まれてしまう。そのサックステクは一流だ!
6曲目の「Techno Mambo」いや~これにはマイッた。
トロンボーンやバリトン、フルートまでこなす万能ぶり!しかもこの曲が一番好き!ダンディー角松さんの曲もうまくアレンジされてて、より洗練されたフュージョンという感じだ。今風のフュージョンだから若年層でも絶対受け入れられるはず!
つげ義春ワールド ゲンセンカン主人 [VHS]
つげワールドをいろいろな監督が映画化していますが、この作品は自然ですね。監督の存在が感じられない程自然です。前世、因果、を感じさせる詫びたエロスが漂っており、なんとなく好きな映画の一つです。群馬県の湯宿温泉の大滝屋がモデルらしいのですが、見事に老人しか泊まっていなかったり、隣の部屋からお経が聞こえたり、混浴温泉で何かの拍子に、中年女性の女性器が丸見えになったりと、若い頃の、つげ本人の強烈な体験が土台になっているそうです。リアリズムの宿もそうでしたが、もの凄い旅館に出会う運命なのでしょう(笑)つげ本人もこの映画に出演しています。この中の物語では、李さん一家、ゲンセンカン主人が、とても好きです。なぜだろう?不思議なせかいで、つげワールドが色濃いからなのでしょうね。池袋百店会は、映画にすると、よくあるメロドラマのようで、イマイチでした。評価は3と4の間です。
南の島に雪が降る [VHS]
よくもまあ、ここまで芸達者な芸人をフルキャストで・・・まあ・・・という素晴らしさ。加東が面接のときに伴淳の演技を見る目は、まさに至極のものに出会ったときの監督の目だ。その監督兼主演の加東も自作自演というだけにいつにも増して熱が入っている。
志村喬&三橋達也のビジュアルからしてハマリ役の上官、伴淳三郎&桂小金治&三木のり平の芸達者ぶりに舌鼓を打つまもなく渥美清まで加わる。これだけのキャストが集って、戦地における慰安劇団を作るんだから面白くないわけがない。
フランキー堺やら森繁久弥が加わってきてもう気分は、まるで「駅前シリーズ」か小林桂樹で「社長シリーズ」(しかも特別出演でチョイ役でしか出てくれない)だが、実にいい泣かせどころも用意されている。しかもそれがごく自然なエピソードとして盛り込まれているため、反戦メッセージも決して偏ったものではなくて、純粋に自然と戦争への嫌悪感がわいてくる。
「せっかく劇団を作るんだから一応ちゃんとしたものを作ろうと思ってるんだ」という加東大介のせりふは、そのまま本作への思いを述べたものではないかという気がするのは気のせいだろうか。それほどこの作品は出来がいい。昨今の意味不明な泣かせ劇で反戦を訴える駄作より数倍説得力があり、見ごたえもあった。