Back to Black
2006年の暮れ頃に耳にして以来、「こんなに素敵なアルバムなら絶対に国内盤が出る!!」と待ち続けていましたが、我慢できずに買っちゃいました。(2007年4月現在も予定はないそうです。)
普段ブラック系はあまり聴かないのですが、これは久々に感動しました!! ジャケ写だけ見ると某av●x系のチャラチャラしたダンス系のブラック物っぽいですが、声を聴いたら「女版JB」な上に、サウンドも「場末の酒場とキャバレー」的なレトロ&ジャジーで激渋です!!
まぁ、同じオルタナ・ソウルでもメイシー・グレイがロック的構造のソウルに対し、エイミーはジャズ寄りのソウルで、メロディも憂いと哀愁を含んだ「昭和歌謡ジャズ風」(ロックで言うとケーク、ジョナサン・リッチマンやアニマルズ辺りな感じです)!!
言うならば「青江三奈 meets メイシー・グレイ sings 朝日のあたる家」と言った感じでしょうか。
気だるさと泥臭さが、体臭と湿気と共に体中に絡み付いてくる様な一枚です。清涼感のあるポップなんかよりも、よりリアルに日本の(都市部の)夏によく合うと思います。
バック・トゥ・ブラック
UKチャートは最近レベルが高いと思っていた。ジョス・ストーンの出現やらクラブジャズのバンドに新鮮な驚きを感じていたところだ。
1983年生まれのエイミー・ワインハウスは、それなりの経験を積んだ歌手らしいが、まさか2008年2月の第50回グラミー賞で年間最優秀レコード、新人賞など主要5部門を独占してしまうとは思わなかった。アメリカ社会自体がこれまでの音楽を「反省」しだしたのかも。
この人は一見古いタイプの歌手に聞こえ、歌唱の基本はジャス・R&Bの「原点回帰」だ。セクシーな嗄れ声と、ビーハイブヘアー&キャッツアイのファッションは60年代ポップグループ「ロネッツ」のロニー・スペクターにそっくりだがそれは見かけ上である。
事実ファストアルバム「フランク」は完全なニュージャズアルバムだ。どちらかというとジャズのホリー・コールに歌唱法で相通ずると思う。ある音楽評論家は「キャバレー・ソング」とコリーを評していた。こう捕らえればエイミーの活動も理解できる。ジャーナリズムはR&Bのジャンルでかたづけているようだが、やはり新しいクラブジャズだと思う。
クラブジャズはリズムが強力だ。多くのクラブジャズシンガーは軽いのりなのに、エイミーは結構シャウトする。倦怠感があるのだが結局、芯の強い声なのだ。
イギリスで先行ヒットした受賞曲は「リハブ」といいリハビリの意味。彼女、アルコール依存症にかかってそこから抜け出るストーリーだそうな。とにかく型破りで個性的。個人的には「バック・トゥー・ブラック」が深みがあり、途中で変調してテンポがミディアムからスローに変化するなどなかなか高度で優秀曲だと思う。
本作品は世界で300万枚位しか売れていないので、今年もグラミー賞最優秀レコードは、メジャーのビヨンセかリアーナが獲るに違いないと思っていた。本当に、エイミーの受賞はサプライズ。陳腐化していたクラミー賞を見直した気分だ。もう一度じっくりとエイミーの歌を聴いてみよう。
◆追悼◆エイミーは2011年7月23日に27歳の若さで他界、伝説の歌手となってしまいました。
Lioness: Hidden Treasures
タトゥー・ビヘイブヘアー・キャッツアイーー。
天才歌手のエイミーはアル中のお騒がせ屋さんでしたが、2011年8月に27歳の若さで他界してしまいました。(ジャニス・ジョップリンも27歳で死亡)
3年前「リハブ」でグラミー賞総なめのブレイクをする前のエイミーは、ロンドンではちょっと有名なジャズ歌手として約10年間活躍していたのです。
本作品は解説を若い頃ジャズ歌手だった父親が心を込めて書いています。エイミーワールドの途轍もない深さを味わえるトリビュート盤です。
今話題のトニーベネットとの「ボディ&ソウル」のデュオは実際、遺作なのでしょう。大ベテランのトニーに対し、エイミーは遠慮なく個性を出しながら調和しています。
18歳の時に初レコーディングしたという「イパネマの娘」はエイミーの高音・スキャット・裏声が楽しめる若く、明るいジャズでした。
「ヴァレリー」はエイミー自身がお気に入りだったらしく、2ndアルバム収録同曲よりテンポを落として綺麗に歌い上げています。
圧巻はラストの「ア・ソング・フォー・ユー」。実はこの曲だけでも芸術性が高く、満足できると思います。
曲の大半はエイミーの未発表収録ですが、YOUTUBE上には別に書きおろしの新曲もアップされているので、トリビュート盤が続いて出るかも知れませんね。テープは沢山残してあったそうですから。 コメント コメント | 固定リンク