THE BEST SONGS
中学生のとき初めてLPを買ったときのことを忘れない。大きく広げたジャケットに広がる夜露の舗道のイメージによって、このアルバムは「夜空・舗道・ピアノ」という背景画が用意されたひとつの舞台で楽曲が演奏されているようだ。
1曲目がバラードからということもあって全体としてはバラードアルバムという印象。秋冬の冷たい空気の中を暖かいコートにつつまれているようなぼんやりとした暖かさと音の響きが共鳴している。収録楽曲はほとんどがファンの間で名曲とされているものばかりだが、特筆すべきは2000本以上のライブを経てもそのアレンジが当時のオリジナルのままというものがほとんどであること。それだけ完成度が高かったということと、スタジオ録音でしかできないような奇をてらうことなく、彼らの演奏にふさわしい創り方をしているからだろう。
非常に美しい演奏、コーラス、すっと入ってくる覚えやすいメロディ、すべてをとってもアルバムでひとつの楽曲という感じである。ぜひファンじゃない人に聴いて欲しい名盤。