本棚探偵の冒険
失礼ながら喜国氏のマンガはやらしいのしか知らずに、まったくキライでした。すいません。
で、その喜国氏の本ってんで最初はかなり信用していなかった。
でも、タイトルとカバーに惹かれて手に取る。中をチラ見する。
ちょっとだけ立ち読み・・のつもりがかなり進んでしまい、これならと、
今度は自信を持って手に取ってレジへ。
そうして、がん読み。面白い!
あたしも本が好きという点ではかなり胸を張れるけど、マニアになにかに凝るわけではないので、
この一種偏執狂のような熱気が面白くてしかたなかった。
へぇ、そうなんだ、横溝正史の文庫本、確かにいろいろなバージョンがあるけど、
それをわざわざ集めようと思う人なんているんだ!
本をきちんと収めたい、だいたいでいいじゃん・・えっ、ゼッタイいやなの?なにその心理?
ハヤカワ・ポケットミステリってそんなに出ているの?
コレクターってそんなとこまで気にするの?
自分がスルーしていることを大事だと思う人もいるってのが最高に面白い。
いや、いい本だった。
かるーく向こうの世界を見たい本好きのあなた、必見です。
大聖堂 (中) (ソフトバンク文庫)
中世のヨーロッパものはなかなか取っつきにくい印象がありますが、この作品はそんなことはありません。
しかしながら、あくまで強圧的な封建領主vs開明的な教会という大きなテーマ自体は、いかにも中世のヨーロッパ。
それに、開明的な石工が「大聖堂の建築」をテーマに絡んでくることで、テンポ良く話が進んでいきます。
ヨーロッパ中世ものの心惹かれる要素が「これでもか」というくらいちりばめられた傑作です。
ケン・フォレスト、今回初めて読んでみましたが(続けて『大聖堂』〜果てしなき世界〜も読んでしまいましたが)他の作品も読んでみたくなりました。
月光の囁き ディレクターズカット版 [DVD]
いうまでもなく原作は喜国雅彦の同名コミック(小学館ヤングサンデーコミックス/全6巻)で、主人公は剣道をする一見普通の男子高校生。しかし、彼は好きになった女の子の「犬」になりたいという衝動を抑えきれずに、せっかく成立した「普通の恋愛」関係を壊してしまう。そのマゾヒスティックで「変態」的な行動様式に説得力とリアルさがあり、いったん壊れたふたりの関係がどうのような軌跡を描いていくかが主題。描写にすごく緊張感があって、作者はよく心の動きをつかんでいると思う。そういう漫画だが、映画は、原作のエピソードをかいつまみつつ、若干登場人物を整理して、「うまく」創っていると思う。
恋愛においては「変態さ」みたいなものはいわば<つきもの>であって、それを過剰(ホンモノの変態)になる一歩手前のところで思春期的「痛み」や「甘酸っぱさ」に回収している。悪い意味でなく、良い意味で。主題歌のスピッツ「運命の人」というのがそれを象徴している。逆に言えば、スピッツ=草野マサムネ的「変態さ」がしっくりこないひとには、原作漫画もこの映画もわからないかも知れない。「わかる/わからない」といったら、少しイヤミないいかたになるけれども、映画の最後にこの主題歌が流れることでじわっと涙が出てくるような映画だと思う。ただ、漫画に比べて、主人公への感情移入を誘わないところがこの映画にはあって、それはなぜだろうと思う。
大聖堂 BOXセット (ソフトバンク文庫)
NHK-BSの放送は見ていませんが、荘厳、且つパワフルで圧倒される本です。
上中下、全3巻、ページ数にして2000ページ弱、一気に読破してしまいます。
タイトル通り、読み始めたら止まりません.何度か徹夜してしまいました。
今、3度目の読書中、それも原文(英語版1000ページ)と並行して読んでいます。
矢野浩三郎氏の翻訳も、原文を読んでみるとその素晴らしさが実感出来ます。
原文は知らない語彙も多いのですが、ページ毎、各々の登場人物の会話で興奮させてくれる作品です。
月光の囁き ディレクターズカット版 [DVD]
彼女の所有物に性愛を感じるMな彼と、そんな彼を蔑みいたぶる事で
彼への愛を感じるSな彼女との、【恋愛映画】。
『黄泉がえり』の塩田明彦監督のデビュー作でもある。
前提としている関係に嫌悪感さえ覚えなければ、傑作です。
あわなければあわないで、それはしょうがないと思う。
ただ一つだけ言えるのは、「美しい作品」であるということです。