戦争とは決して世間一般に語られように単純なものではない。戦争指示者と反戦論者のどちらが語るものを超越した直視し難い悲劇がそこにはある。特に日本人には馴染みの薄いであろう戦地、それを伝聞により得た情報で偏った正義をふりかざすことに、この映画を見ることによって疑問を確実に抱くことになるはずである。
映画が語るよりも客観的な現実がそこにはある。
それぞれの信念や愛のために殺戮を繰り返す人間。
いつから人間はそのようなシステムを構築し、それを避けられない悲劇として受け入れるプログラムをインストールされてしまったのだろうか?
勝利の栄光や魂をふるわす人間ドラマは本作にはない。しかし、本作には知るべき現実がある。
何度も見る必要はないが、一度は見るべき作品だと私は思う。
第3版との一番の違いはアフガニスタン編がカットされ、
中央アジア5ヶ国のみの情報になったこと。
(アフガニスタンはLonely Planet Afghanistanとして発行された)
前版には載っていなかった地域や町の情報が増え、
地図も豊富で少し精度が高くなっている。
カザフスタン北部やタジキスタン東部の情報は、
あの「旅行人ノート」でも少なく十分とは言えないが、
この本にはそれが詳しく豊富に載っている。
この1冊があれば中央アジアを隈なく周っても十分事足りるだろう。
チリ、アルゼンチンの軍事政権による弾圧、天安門事件、ロシアの政変といった事件は民主主義を求める人々と抑圧的な政府の対立と報道されてきたが、その実態は国(国有財産と労働者としての国民)を外国企業に売り払おうとする権力者と生活水準の悪化に抗議する人々との対立だった。
Alex Jones氏などのアメリカの陰謀論者は、FEMAが政府に批判的な人々を手当り次第に大量に拉致して収容所に監禁するのではないかと恐れている。私はこの話を聞いたときいくらなんでも偏執的だと思ったが、チリでは実際に1973年にピノチェトによりこういった大量逮捕と虐殺が行われた。荒唐無稽な恐れではなかった訳だ。
南アメリカの現代史については紹介される機会が少ないので本書でチリ、アルゼンチン、ボリビア、ブラジルでどのように新自由主義的な政策が導入されていったかをたどった章は新鮮だった。
南アフリカのANCやポーランドの連帯は政権を獲ったあと国有化を十分進める事ができずに外国企業に有利な経済政策を受け入れさせられきた。 当初の理念が挫折した理由は、経済政策の重要性を十分理解していなかった事もあるが決定的だったのは国家債務とIMFからの融資だ。日本には国内に資本が十分あるのでこういった心配はないが、イギリスではサッチャー政権がフォークランド紛争に乗じて新自由主義的な政策を導入した。尖閣諸島で紛争が起きたら企業に有利な政策が日本で導入される可能性がある、要注意だ。
本書は「サクサク現代史! (ナレッジエンタ読本)」に加筆し新書化したものです。パレスチナ問題・ソ連の成立と崩壊・冷戦後のアメリカの3テーマについて、漫画+解説+対談の三つ巴でザックリと迫ります。漫画は各国を生徒にキャラクター化し、現代史における事件を教室で起きる事件としてコミカルタッチに焼き直しています。これが痛快で分かりやすい。まるでドラえもんが出てこない「ドラえもん」を読んでいるかのような…(^-^);; (米国:"ジャイアン"、英国:"スネ夫"、ソ連:もう一人の"ジャイアン"、その他大勢:"のび太"... 解説で出てくるノルウェーは"ドラえもん"ではなくて"しずかちゃん"と言ったところか。中国は本書ではあまり出てきませんが、今の中国はある意味"ジャイアン"では?) 国際連合を"教育委員会のお墨付きで体罰できる番長連合"とは言い得て妙です。
かなり端折ってザックリ解説した処も見受けられましたが、「大筋をサクサクと理解する」という意味では目くじらをたてる程でもないかもしれません。本書の内容に興味をもった方は「そうだったのか!現代史」「そうだったのか!現代史〈パート2〉」「そうだったのか!アメリカ」をお読みになると現代史の理解が深まることと思います。
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