なにしろ30年以上前の日本ですから、、、音質はけしてよくありません。
若者の少し背伸びしながらも溌溂としたプレイを素直に楽しむアルバムだと思います。
個人的には今でもこうして買えたというだけで最高評価です。
読ませます。読み始めてからは途中で止めることが出来ず、ラストまで数時間で読み切りました。主人公のプロ意識と、ある種誰もが持つ人間的な弱さが交錯し、臨場感溢れる舞台回しでした。いろんな意味で励まされる内容です。 ただ、事故そのものが脇役に徹している、というか、小説の道具にさせられているという印象をもち、その分物足りなさを感じました。しかし、これもまあ小説のあり方としては当然かも。 日航ジャンボ墜落のような歴史的な大事故・大事件を題材にする小説は、その時自分が何をしていたか、何を考えていたかと重ね合わせながら読むことになり、当時を振り返り感慨深いものがありました。
本書は四編からなる短篇小説である。第五回松本清張賞を獲得したデビュー作「陰の季節」に続く二作目。デビュー作も短篇であり、その実力は松本清張賞受賞が証明していよう。 表題作で冒頭の「動機」は警務課調査官貝瀬が主人公の作品。警察官の名刺代わりの警察手帳。その大量紛失。最後は己のプライドと保身のために犯人を追い詰める。ちなみに前作「陰の季節」で全編に登場した二渡の名がここにも。 次は「逆転の夏」。殺人を犯し服役、そして仮出獄した山本。山本の社会復帰に協力する保護司の及川老人。及川老人のおかげでようやっとつかんだ平凡な生活。ある日、その生活を脅かす電話が。カサイという男性から属託殺人の依頼である。そして山本、及川、カサイの三角関係が思わぬ方向に展開する。 そして「ネタ元」は新聞記者が主人公。女性記者の水島は警察署に詰める事件記者である。時代に取り残されたかのように男尊女否的世界の新聞記者たちや営利至上主義の会社のなかで、ひとりがんばる水島。それが報われるように大手紙から引き抜きの話しが。最後に花を添えようと、以前から追っている事件でスクープを取るためにネタ元へ。しかしネタ元は拒否。なぜ…。 最後に「密室のひと」。裁判官である安斉は、とある裁判中に居眠りを。この居眠りをきっかけに安斉は依願退職へと追い詰められる。安斉はある推理をする。この居眠りが人為的なものであったら…。 すべてにおいて、それほど難解な推理小説ではない。犯した過ちを隠すための過ち。理由さえ掴めればたわいもない。しかし、過ちの上塗りにはその人なりのあらゆる思いが込められており、それを踏まえて悲愴感溢れる推理小説に仕立ててしまう著者の力量には感服するほかはないだろう。
この厚さ、この値段(それでも安く設定されてると思います)、誰でも文庫化を待ちたくなるでしょう。 それを差し置いても、今買って読んだ方がいい。それくらいの力作だと思います。 これだけ前評判がいいと、期待が高すぎて最後の印象が薄まる事があるが、それを差し引いても驚くべき結末に圧倒されました。 7年を空けてもこの圧倒的な筆力を維持している著者がすごい。 復帰を祝うためにもこの本は売れないといけない。
本作は、日航123便の事故をセンセーショナルに描いたものではない。地元新聞社(モデルは上毛新聞)の記者を通しての「あの長い夏」の記憶だ。とにかく全編に漂う緊張感がタダものではない。皆が本当に、現場にいた新聞記者に見えてくるのだ。実直だが一本芯の通った堤真一、クールな熱血漢の堺雅人のすさまじいまでの気迫と、エンケンやでんでんの味のある妙技。そして山崎努の圧倒的な芝居。すべてに驚かされた。新聞社員や自衛隊の役もエキストラは使わず、俳優オンリーで通したことが成功要因だろう。また「殯の森」で見事な芝居を見せた尾野真千子が、カッコいい女性記者を颯爽と演じていたのが印象的だった。加えて、事故現場の凄惨さを再現していて、当時の陰鬱な気持ちを思い出した。忘れてはいけない記憶を映画が紡ぐ、というのは「活動写真」の役割のひとつだと思う。原田監督の作品はどこかアメリカナイズされたものが多く「大好き」といえるものがなかったが、本作は掛け値なしに凄いシャシンだ。現在までの原田組の最高傑作と断言してしまおう。デ・パルマなみの事故発覚シーンの長廻しワンカットも見どころだ。2008年の日本作品では最上位の1本といえよう。ぜひ観てください。
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