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イティハーサ (1) (ハヤカワ文庫 JA (639)) 読み終わった後、涙が止まらず、
しばらくこの作品の世界から抜け出せなかった。
現代の日本が失ってしまったものに対する哀しみ、
そして八百万の神が存在する日本という国をもっと大切にしたいという想い、
深い感動、そういったものが混沌として頭の中をかけめぐり、
文字通り放心状態だった。命とは何か、善悪とは何かといったことを

深く考えさせてくれる素晴らしい作品。透明感のある絵も美しい。
このような作品を描いてくれた著者に感謝したい。


ヒッチャー [DVD]  R・ハウアーと言えば個人的には「ナイトホークス」(81)、「ブレードランナー」(82)、そして本作(85)の印象が強い名優だ。3作共、冷酷残忍な悪役ながら、何処となく哀愁を漂わせニヒルなカッコ良さを感じさせる雰囲気を醸し出している。(以降の作品にも持味として生かされているが。)
 本作の主人公の青年も偶々雨の中一人のヒッチハイカー(R・ハウアー)をハイウェイで拾ったばかりに散々な目に...不気味で執拗に偏執的で目的も分からず、纏わりつかれる。 (ここらへんの要素が「激突」の影響が見られるようだ。)
 ナイフを突きつけられる恐怖、ロードゲームの様な遊戯的犯行手口、じわじわといたぶる異常な狂気感覚等、可なりの粘着系のシツコイ演出描写は見る人によっては不快であり、腹が立つ程ですらある。間違いなく人を選ぶ作風である。結末の落ちは人によって感じ方が異なるタイプの物である。

ヒッチャー [DVD]  この作品の作られた86年は「ターミネーター」(84)の大ヒットに伴って類似した映画が大量生産された時代ですが、このヒッチャーもその影響が無いと言ったら嘘になりますが、充分オリジナルティを持っており、成功した数少ない作品でしょう。

 物語は車の陸送中(アメリカならではのジョブ)の青年が、あるヒッチハイカーを乗せたことから始まると言う、とんでもなく些細な出来事がきっかけとなり展開していきます。一度自分の手の中から逃れた青年に何かを感じたのか、執拗に彼をなぶるようにしながら徐々に追い詰めていくヒッチハイカー。

理由のわからない彼の追跡。罪を着せられ警察にも追われる羽目に陥った青年は心身ともに限界に追い詰められていく様子が悲壮感と恐怖を盛り上げます。

 その恐怖を見事に再現させるのはルトガー・ハウアー。彼の静なるたたずまい。声を荒げるでもなく、銃を乱射しまくるわけでもなく、たんたんと主人公を追い詰めていくキャラクターは不気味さの極致。この映画の成功は彼の存在無くして成り立たなかったでしょう。

 最後は一応ハッピーエンド(なのか!?)となるのですが、クレジットの流れるバックの映像には今後に訪れる苦悩を暗示しているようで、後味の悪さは否めませんので、観賞の際は自身の精神状態にご注意を。人によってはかなり参ると思います。

 またこの作品には若かりし頃(失礼かな。笑)のジェニファー・ジェイソン・リーが出演しており、役柄もよく彼女のファンなら要チェックですよ。


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