第一印象が悪すぎたので、そのギャップにやられました。 なので、★5。
始めは「源氏物語って長編だから、良いところをピックアップして終わるんだろうなぁ」とか「紫の上が好きなのに、夕顔までしか出ないのかぁ」と、げんなりしていました。 ノルウェイの森とか人間失格とかも見てみましたが、だいたいこういう長編作品は前後の話しが大切なのに、そこをすっ飛ばしてメインとなるシーンしか焦点に当てないので、この映画も似たようなもんなんだろうなぁと舐めていました。
内容としては、確かにつまみ食いですが、それでも月光や桜、寝殿造りは素敵だったし、舞と尺八の組み合わせはとても心ときめきました。 学生時代の知識だけを頼りにしていると、「あ、こんなシーンもあったね!」で懐かしく感じるだけで終わってしまいそうなので、できれば、あさきゆめみしとかでも良いですし、瀬戸内寂静翻訳の源氏物語でも良いので、読んでから映画を見た方が良いと思います。 映画オリジナルはもちろんあります。伊周とか清明とか。
生田斗真の光源氏はもちろん、かっこ良かったですし、六条の御息所もものすごい迫力がありました。怖かったです。 あそこまで、リアルに描くとは思ってもみなかったので、衝撃でした。
この1作品で終わらせるのは何だか勿体ないので、続編を作ってほしいなぁと淡い期待を寄せています。 あと、私は元々、源氏物語が大好きなので、かなりこの作品に贔屓していると思います。
自分の英語力が足りないので、辞書なしではちゃんと読めないのですが、辞書を引きながら「あー。綺麗な訳だなあ」と思う所があります。 日本語版(一葉訳)と比べながら読んでますが、自分が頭良くなった「気が」します。
まったくもってどいつもこいつも……またやられましたw
結構今回は大人しそうな内容かな、と思ってたら、みんな一癖二癖あるくせ者で、遺憾なくダメ男っぷりを発揮してます。ある意味、男の子らしいと言えば男の子なんだなって感じでかわいかったです。特にギャル男の源氏、この破壊力のまえに打ちのめされましたw
従者の竹本さんが全体の8割に出演しているという、影の主役っぷりは1巻に引き続き◎でした!!
翻訳は原文に忠実であるべきですが、逐語的に忠実でありさえすれば事足りるわけではありません。源氏物語を英訳するに当たり、サイデンステッカーは、うわべの忠実にとらわれることなく自由に訳しました。その結果、自然な英文に仕上がり、非常に読みやすい。その書き出しをウェイリーの訳と比べてみましょう。
(サイデンステッカー訳)
In a certain reign there was a lady not of the first rank whom the emperor loved more than any of the others.
(ウェイリー訳)
At the Court of an Emperor (he lived it matters not when) there was among the many gentlewomen of the Wardrobe and Chamber one, who though she was not of very high rank was favoured far beyond all the rest;...
ウェイリー訳は、逐語的正確性という翻訳の基本に則した古典的名訳ですが、英文としてすらすら読めるという点では、サイデンステッカー訳は出色の出来栄えだと思います。
『うた恋。』は、1巻も2巻も切なく、また、こうやって解釈するのか!と新鮮な和歌の世界を見せてもらいましたが、 3巻は、さらに脂ののった(?)感。一層、胸をとらえられました。
1巻・2巻は、短編を混ぜ合わせた結果か、「平安和歌の世界のパロディ恋愛漫画集」的感があった気がしますが、 今巻は、清少納言とそれを取り巻く人たちを中心に物語が編纂されている点が一貫しているからか、(それとも、読み手側の私が、この世界に慣れてきて、接し方がこなれてきたからなだけかもしれませんが)深みが増した気がします。
例えば、宮中に入り才能を開花させることと、それを拒んでの、愛する人との家庭生活とを両てんびんにかけるテーマは、2巻の小野小町でも、レベルや形を違えど出てきましたが、今巻のほうがリアルな流れであった気がします。 また、1巻で登場した紫式部の源氏物語にかかわる部分ではあまり触れられなかった、自分の仕える中宮への尊敬、自分の作品に掛かる政治的役割といった側面も、今回の枕草子では、よく表されています。 それぞれの生き方や政治を巻き込んで、様々な恋の形を描き切っています。
私は、清少納言と藤原行成の関係がとても好きです(表紙もこの二人です)。友情と情愛を交わす粋な潔い恋仲がとても好きでした。 作者の杉田圭さんも、きっと素敵な恋をされた方なのだろうなぁ…。なんて。 清少納言が魅力的に描かれた漫画でした。
身分、家柄、しきたり、職務、状況、そういったしがらみのなかで、必ずしも恋する人と単純に結ばれるわけでない、それは、現代でも同じですが、 現代よりも、このしがらみの力が大きかったろう、より自由で不自由だった人たちの恋の作法が、切なく潔く、胸深くにしみました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・ 付録DVDは1巻に収録された藤原道雅と当子内親王の話に、内親王の父三条院を登場させて、月をテーマに叙情豊かに編纂しなおしたもの(30分)、と、2巻発売時の宣伝用映像(1分)でした。
前に2巻を買った時には、先にDVD付でないものを買ったのですが、次第に、取りこぼしなく『うた恋。』の物語が知りたくなって、DVD付を改めて購入した経緯があり、 今回は、最初からDVD付きを購入したところです。
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