英治出版さんから読者モニター募集で贈呈いただきました。
自分があるいは親しい人ががんを再発したときに手元にあってほしい本です。
このような本が普通の出版社から出ているのにちょっと驚きました。特に英治出版はマネジメント書の出版社だと思っていたので、不思議な感じがしました。 とは言え、このような本がいつまでも幅広く入手可能であるためには、しっかりした出版社から出されている方が良いわけですから、これからも英治出版には頑張っていただきたいと思います。
ガンについて詳しく知らない私が驚いた話は以下の二点でした
・大腸がんが肺に転移した場合、肺がんなのだけれど大腸がんに効果のある抗がん剤を使わなければ反応しない ・延命治療はもう良いから痛み止めだけくださいと言った瞬間、治療をしないなら面倒は見られないという対応を取る病院が多く、病院探しが大変になる
この本を読み終えた私の役割は、この本の存在を周囲に広めることであり、また、この本を必要としている人に譲る、或いは地元の図書館にこの本を寄贈することだと思っています。(杉並区の図書館には3冊ありました)
「がん」と告知を受けて、とにかく頭が真っ白になりました。何をどう準備すればよいのか?どのように情報を得ればよいのか?主治医とのつきあい方は?と。 また、「どうしてわたしががんになったの?」と悲しみや不安、やり場のない怒りなど様々な感情がわいてきます。
そういう時にこの本を読むと、自分の気持ちに起きていることは、実は当たり前のことであること、今後どのような段取りですすめていけばよいのか、相談したことがあるときにはどうすればよいのか、セカンドオピニオンを受ける場合にどのようなことを聞けばよいのか、などなど、がん患者が知っておくべき基本的な知識を得られます。 もちろん、インターネットで中身を読むことはできますが、紙媒体で持っていると安心できました。
「家族でがんになった人がいるから、どうすればよいかわかっている」という人には必要ないと思いますが、「家族の中では、自分ががんになったのが初めて」という方にとっては、マニュアルのような存在になると思います。患者本人はもちろんのこと、家族で読んで病気のこと、今後の生活のこと、仕事のことなどを相談するのに役立つと思います。 また、巻末には「わたしの療養手帳」というページがあります。コピーして活用させてもらいました。(こちらもダウンロードもできますが) 医師から聞いたいろいろなことを、整理していくのにはとても役立ちましたよ。
この本の購入を検討されている方は、がんと告知をうけた方だと思います。 お互いに希望をもって、前向きにがんばっていきましょう、この本はそういう本です。
ただし、すべてのがん患者を対象に書かれている本ですから、自分のがんの部位にあわせて、別に専門書なりを購入する必要があります。一番ほしい?「○○がんについて」みたいなところはごく簡単にしか書かれていません。病気に関する記述は、ごく一般的・・・ということで、マイナス1で☆4つとさせていただいきました。
移り変わりが早い癌の化学療法。
前のバージョン(第4版)も時代遅れになってきたな〜、と感じていたところ、第5版の登場です。
これから日本で承認されるであろうレジメも記載されており、これから2,3年はこのバージョンが使えそうな感じです。
ただ、急いで作ったのか(?)誤植が所々見られるのが難点。
IFM(ifosmide)がIFN(interferon?)となっていたりします。まあ、これで薬剤を取り違える人はいないでしょうけど。
国立がんセンター名誉総長・垣添忠生先生といえば現在日本でがん医療にかかわっている医師では知らぬ者がいないキーパーソンであるし、今上天皇の前立腺がんに関する主治医の一人として、あるいは2007年春の退官までNHKはじめマスコミでも積極的に発言されて一般市民でも知る人が多いと思う。その現代がん医療の中心にいる医師が夫人のがん闘病に文字通り悪戦苦闘する体験記である(その意味でも、後世、21世紀初めの日本のがん医療あるいは在宅ケアの実態を示す貴重な資料となるであろう)。
垣添先生が勤務していた病院に夫人が入院中、年末年始だけは自宅で、と長期外泊を計画する。お子さん・ご家族がいない夫妻なので垣添先生が点滴や在宅酸素療法や排せつの介助を一手に引き受け(この準備のくだりも実態を知る医療者にはご苦労がしのばれます)ご自宅へ。ところが、ご自宅で病状がどんどん進んで大晦日に自宅で永眠される。その後の氏の茫然自失(3か月に及んだようだ)とそれから、こうした著作に取り組めるように「回復」するまでの経験と告白も貴重である。ただ、それを特に取り上げて本書の帯広告のように「がん専門医が実践したリーフケアの道のり」と宣伝するのは適切ではないと思う。
なぜならば、本書の白眉はご夫妻のなれそめから発病して闘病中、そして臨終後に垣添氏が感じたご夫婦の交流にこそあると思うからである(終盤の蝶や小鳥、ウサギのエピソードは涙なしでは読めなかった)。本書はグリーフケアの教科書ではなく、氏の夫人への熱い思いを込めた鎮魂の書である。
がんと取り組む患者、ご家族、親しい方を喪ったご遺族ばかりでなく、がん医療を考える医療者、一般の方にも広くお勧めしたい。最近、垣添先生の職を引き継ぐ、国立がん研究センター(2010年4月から改組・名称変更)の理事長が選出されたが、氏と同様の真摯で有能、情熱の士であることを期待する。
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