74年発表の2nd。元カーブド・エアのフランシス・モンクマン(k)、ゲイリー・ウィンド(sax、本作でもゲスト参加) らとの新生マッチング・モウルの準備中の73年に事故で半身不髄となった彼がシンガーとして再出発を飾った本当の意味でのデビュー作とも呼ぶべき名作。屈指の名曲の1.は乱れ舞う波のような独特の美しさを誇った孤高の一曲であり、絶対に聞くことをお薦めする。今までの彼の作風とは異なった重苦しい雰囲気は漂うものの、多くの曲はマッチング・モウル用に書かれた曲であり、そのマッチング・モウルの1stに通じるユーモラスなジャズ・ロック的な要素も強く持っている。 ゲストとしてマイク・オールドフィールド、キャラバンのリチャード・シンクレア、ゴングのローリー・アラン、ソフト・マシーンのフュー・ホッパー、ヘンリー・カウのフレッド・フリスらが参加している。6.で登場する、いかにもマイク・オールドフィールドなギターが素晴しい。
買う前から個人的に期待はしていたのですが、その期待を大きく上回るアルバムとなりました。
大体がデヴィッド・バーンのアルバムですからそれだけでもう保証つきのようなものですが、アンビエントの巨匠にして、今や大プロデューサーでもあるブライアン・イーノとの共作、悪かろうはずもありません。イーノはボーカルアルバムのプロデュースは得意なんですね、ですから、気心のしれたバーンとの本作は想像以上の傑作となりした。
やはり所々に現われる不思議な音使いは、ハズシ具合が丁度良くて、非常に新鮮です。
またブライアン・イーノがらみの名盤が誕生した瞬間です!
日本盤はボーナストラックとして1曲多いですから、この際こちらを買った方が後々いいかも。
問答無用の、間違いない傑作アルバムです。
'91年にリリースされた安らぎと美しさを兼ね備えた秀作です。奥様の描かれたジャケットが印象的ですが、これに惹かれて買ったのがWyattとの最初の出会いでした。 抽象的な水彩を思い浮かべさせるような印象的な繊細さや透明感を感じる音作りはやはり彼独特のものです。前衛Jazzや現代音楽的な要素を織り込んだ凝った音作りは彼の作品に欠かせないところですが、本作では他の作品に比べて控え目の観を持ちます。ここでは彼のピアノとヴォーカルが主役であり、彼のピアノが好きな方には特に大切にされそうです(私もその一人です)。 なお、この紙ジャケ版では曲順が'91年リリース時に戻っているため(意図は現時点では判りませんが)、ラストに登場して更に印象的なんですが、突如、軽快なピアノとユニゾンで歌い出される"Dondestan"にはハッとする新鮮さを感じます。このメロディを耳に残したまま、ついもう一度最初の"Costa"から聴きたくなる不思議な感覚を憶えます。 また、"Worship"の穏やかな表情や"Catholic architecture"の静かな佇まいなども魅力的ですから、コアなファンの方のみならず、より多くの方に好かれそうなスタンスを持っていると思います。 何度か聴いているうちにジャケットに描かれた風情とのマッチングにほっとした気持ちになってくる、身近に置いておきたい親しみを感じてしまう一枚です。
70年プレスのロバート・ワアットによるファースト・ソロ・アルバム。 ワイアット(ドラムズ、マウス・ピアノ、オルガン)、マーク・チャリグ(コルネット)、エルトン・ディーン(アルトサックス)、デヴィッド・シンクレア(オルガン)らによる、充実した演奏が堪能できます。ワイアットのヴォイス・パフォーマンスやアヴァンギャルド・フリー・ジャズ寄りの演奏は、初期のソフト・マシーンに通じるものがありますが、ギル・エヴァンズのカヴァー1曲を除く全曲をワイアットが作曲し、彼自身がやりたかったことがより鮮明に伝わってくる感じです。後の『ロック・ボトム』や『ルース・イズ・ストレンジャー・ザン・リチャード』等に見られる独特のユーモアや整合感は、ここではまだ見られないのですが、若さに裏付けられた混沌としたエネルギーが聞く者の耳を捉えます。もちろんその若さゆえの稚拙さなどは微塵もなく、高度なテクニックでかなりスリリングな演奏を聞かせてくれます。初期のソフトマシーンに触れ、その感触をつかんだ方にはお勧めの一枚です。
スティング主演のオペラ。エルヴィス・コステロ、ロバート・ワイアットほかも参加。 エルヴィス・コステロの右腕、スティーヴ・ナイーヴの作曲で、あまり代表作と言える作品のないナイーヴですが、今回の曲はよく書けている、と思います。 最新作で元祖シンガー/ソングライター、ジョン・ダウランドをカヴァーしたスティング、数年前にバレエ音楽を作曲したコステロの教養主義を思うと、スティング、コステロにとっては、規定路線でしょう。歌唱力抜群なので、文句はありません。 しかし、詳しい動機は分かりませんが、ポール・ウェラーは、最近、公衆の面前で、スティングのポスターに唾を吐きかけ、罵倒したそうです。ウェラーのようになおも狭義のロック魂を燃やし続け、ポリスの頃のスティング、デビュー当時のコステロが好きな方には、スティング、コステロのオペラ歌唱は、彼らのスノビズムの表れであり、むかつくだけかもしれません。 日本盤は、歌詞・対訳完備です。
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