明らかな人選ミスと言うか、間違いですね。
“敵を知り、己を知れば百戦危うからず”の意味で、辛坊氏の文章の間に孔健氏の文章が挿入されています。
読み始めて、中国の一般大衆の考え方を知る上では良いかな?と思いました。
しかし、序盤の尖閣諸島の漁船衝突事件の話題で、孔健氏が米国黒幕論という、胡散臭い話を展開するあたりで読む気が半減してしまいました。
知名度で選んだのでしょうが、もうちょっと知識階級にある人を選ぶべきでした。
討論みたいな形式を取るなら、辛坊氏と同じくらいのレベルにある人を選ぶべきなのは言うまでもありません。
辛坊氏の本を読む人は、タブロイド記事みたいな話を期待してるわけじゃないはずですよ。
でもまあ、我慢して最後まで読んでみました。
日本に言いたい放題言う中国人の特徴として、自国の体制、政治に対しての発言はかなり慎重になると言うのがあります。
それだけ、中国の公権力が怖いからですが。
孔健氏もその例に漏れず、胡錦涛から習近平への権力移行の話題などでは、無難かつ慎重な文に終始しています。
“習近平はある意味、胡錦涛に比べて親日派である可能性が高い”なんて政治家の答弁みたいなあやふやな言い方です。
面白くも何ともありません。
最後に辛坊氏と孔健氏が後書きを書いていますが、孔健氏は天安門広場に孔子の銅像が建てられた事を引き合いに出し、遠回しに自画自賛。
見栄っ張りで厚顔な中国人らしいです。
本書の読後感を一言で言うとどうなろうか。まさにこの一言に尽きる:
「日本に生まれて本当によかった」。
中国における権力闘争は“凄まじい”の一言に尽きる。処刑、処刑、処刑である。そして、中国には、原則として、人権という言葉も理念もなく、ただあるのは「共産党万歳」という、権力の源泉である組織の維持と、それに随伴して権力者のもとに転がり込んでいくる利権という、烈々なる腐敗の構造である。
著者リチャード・マクレガー氏は淡々とこの構造を記述している。中国は本当に恐ろしい国である。この恐怖を冷静にまとめあげている著者の筆力の素晴らしさが、しかし、返ってこの恐怖感を希釈しているという事が、読者としては残念な点かもしれない。もっとも、これは、翻訳者が担うべきことであるかもしれないが。
支那大陸の支配してきた歴代王朝は、いまさら繰り返すまでもなく、謀略、暗殺、および戦争の連続であった。20世紀初頭では、蒋介石や張作霖などがこの首領にあたる。それを大東亜戦争のドサクサに乗じて、大陸を統一したのが毛沢東であった。そして直近の中華王朝にあっては、さきの全人代でまさにそろい踏みした江沢民、胡錦濤、そして習近平が現代中国の三覇者と言うことができる。この意味で、本著『中国共産党』をレビュータイトルのとおり、“現代版軍閥抗争史”に、レビューワーは例えたのである。
そこで、本書を一言で評すると、こうなろうか:
『現代中国を理解するための格好のテキストの一つ』
その理由は、上記したように、過去から現在にわたっての中国の政治形態が一貫して“王朝”であるためである。その意味でいくつか好著をあげてみると、近著としては、宮崎正弘氏『中国権力闘争』がある。くわえて、大東亜戦争に至るまで軍閥抗争を描いた以下3つの偉著:カール・カワカミ著『シナ大陸の真相―1931−1938−』、ラルフ・タウンゼント著『暗黒大陸 中国の真実』およびフレデリック・ビンセント著『中国戦争宣伝の内幕―日中戦争の真実』をあわせてひも解かれると、より一層中国という“本質”を掴むことができうる。
とにもかくにも、日本人と中国人は顔は似ているが、その民族性や気質がまったく『異なる』という紛う方なき事実を、改めて、読者は本書に見いだすはずである。と、同時に、読者は日本の地政学的位置を深く熟考することになろう。なぜならば、中国における権力闘争こそがそのままに、現代の「尖閣問題」や「北朝鮮問題」など、さまざまなイシューに直結していることが理解されるからである。日支は、程度はともかく、よきにつけ、また『悪しき』につけ、腐れ縁なのであった。
だが、腐れ縁といって、日本人は笑ってすましてはならぬ。なぜなら、われわれ日本の近現代史こそ、支那大陸に翻弄されてきた歴史なのであるから。というのは、中国という国には、繰り返すが、人権や法律や民主主義といった、日本に存する普遍的理念が、過去においても現代においても、まったく欠如してきたからである。本質論からいえば、現代中国はいまだに『三国志』そのままの世界なのである。
“嘘も百回言えば本当になる”危険な隣国の本質を、われわれ日本人が真に理解するための格好のテキストの一つとして、多くの日本人はぜひ本著を手にとられたい。
中国人である著者は中国にも日本にも偏らない記述を心がけているようだ。しかし私はどちらかという日本寄りという印象を受けた。本当は日本と仲良くしたいという胡錦濤政権の本音を知っているだけに、どうして日本はもっと上手くやれないのかという、そんなもどかしささえ感じられる。迷走する日本外交への応援歌という感じだ。
しかし右派の安部政権が誕生してあっさりと日中は仲直りしてしまった。小泉さんのあの対中ケンカ外交はいったいなんっだたのだろうか。しかしそんな今だからこそ本書の価値は増していると思う。政府の中枢にパイプを持つという著者ならではの鋭い分析は、日本がこれから胡錦濤政権とどうお付き合いをしていくのかを考える際に大いに参考になるはずだ。
また著者は本書で日本への提言もいくつかしている。経済的には台頭した中国を良きライバルとして認めてライバルに負けないために国内改革をせよ、外交はしたたかな米国に学ぶべし、等々である。傾聴に値すると思う。
中国で有名な若手日本人の著書ということで購入。
中国人同世代に対するまなざし、彼らに対する外部からの第三者的な感想は参考になるものがある。
ただし、彼自身の日本人観がひどく偏ったものに感じた。
自身が小さいときにいじめにあったということや大学以後中国にいるために接触する日本人が限られているからかもしれない。
内容としては、中国人と日本人を比較したエッセーであるので、もう少し幅広い日本人観がほしい(中国人に対しては幅広い観点から論じているが)。
何年間にわたって大規模のアンケート調査、しかも日、中両国間で行うことの難しさを考えると大変貴重なデータが詰まった本であります。
ちょっとだけ前の両国間の民意を少しだけ覗くことができた気がします。
アンケートは問題と対象によってまったく違う結果になりうるのです。また行う年の出来事によって答も180度違う場合もあります。
「民意」という言い方も「水分」がないとは言い難いです。
アンケートというのは本当に難しいですが、やり続ける意味が十分あると思います。
次回のアンケート結果も楽しみにしています。
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