本書で三島由紀夫賞受賞である。うち短編「蛹」で川端康成賞。これは短編の賞で、近ごろ若手に与えるようになった。表題作は、実に奇妙でグロテスクで、しかも締りがない。ただ、最近の三島賞受賞作の中では、比較的まともである。文章もきちんとしているし、筋は崩してあるし、グロテスクな場面もあるし、1980年ころの芥川賞受賞作のようだ。「蛹」は、カブトムシの幼虫が意識を持って語っているという、冗談みたいな短編だが、結局最近の芥川賞とか三島賞に、納得できないものが多すぎるので、たとえば「切れた鎖」が芥川賞なら、納得はする、という意味で、相対的だが、今後どんなものを書くのか、見てやろうという気にはなる。
文庫用のブックカバー。
革製品なので、手触りがよく長持ちしそうです。
皮の匂いと本の厚みを楽しみながら読書でき、
ギフトにお勧めします。
鯉昇師匠はマクラが面白いことで定評がありますが、粗忽の釘には、マクラがたくさん入っており、鯉昇師匠のマクラを楽しみたい方にはおすすめです。噺自体も面白く演じられています。 家見舞は、汚い噺なので個人的にはあまり好きではありません。こちらはマクラ無しでいきなり始まります。 最後の古新聞は、これも鯉昇師匠がマクラによく使うネタです。 全体的に悪くはないのですが、何故こんなに古い録音を使ったかがちょっと解せません。
田中麗奈は、時代劇は今回が初挑戦とか。着物姿も楚々としてとてもキュートなのだけれど、どこか筋が通っている心の強い凛とした女性像を見事に体現していました。(萌)
そして、東山紀之がやたらと格好良かった。殺陣もビッシと決め、子供には優しく微笑みかけるという美味しい役どころ。でも確かに、手塚弥一郎というキャラクターが、ストイックなイメージのある東山紀之に合っていました。
実家のお母さん役を壇ふみが演じています。体裁のためにガミガミ言わず、娘の気持ちを察してそっとひとこと大事なことを言うのですが、それもお母さん自身が凛としているからこそ生きてくるんですね。
あと、村井国夫の悪役がビックリするほどハマっていたし、ちょっとしか登場場面はありませんが、富司純子の存在感が凄かった。
そして、もうひとつの主人公は風景ですね。雄大な山の風景や田んぼのあぜ道。一面の雪景色。春に雪解の水が流れるせせらぎには、小さな草花の芽。そよそよとした風さえ感じられる。そして、本作のダイトルでもある『山桜』。
ラストは、大きな苦難の予感があるものの、これはこれでハッピーエンドなんでしょう。
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