これだけ面白い小説があるだろうか? とにかく漫画本を読んで笑ったこともあまりない僕が唯一笑えた小説だ。 長編にもかかわらず、飽きさせず、一気に読破してしまった。 しかもタダ短に面白いだけでなく、恋愛での葛藤や、人生における理不尽さなどをリアルに描いている。映画化された映画も好きだった。映画もDVDが早く出ないかと待ち遠しい。
推理小説として読んでしまうとつまらない。犯罪がありきたり。犯人捜し、殺人動機、トリ
ックも平凡だ。人間心理を追求した小説としてもありきたりの感じがするが。匂いの記憶が
犯人探しのポイントは面白いか。主人公が真相を追究することで実は自分自身も窮地に追い
込まれることになるのだが。新たな殺人につながる危険性が・・・人との関わり、距離感、
記憶の誤差、物語の展開は作者独特の世界だが、ジャンプと比べると・・・?
食わず嫌いだった日本映画も この作品で好きになった。 選択→すれ違い→結果 シンプルな図式をタンタンと けれども情感を匂わせて 日常的に描いた 確信表現がスキ。 「失踪」のキーワードにザワザワ感を持ちつつも、 ゆったりと はまっていったのは 誰の人生にもおこりうるであろう ドラマだからなのでしょうか。 そして なぜか 心の奥にあるものを呼び起こされる。 私の中では 上等な 大人の「恋愛映画」です。 原田泰造の 中途ハンパなイイヒトぶり 名演!
小説家が小説を読む視点は、小説家でない我々が小説を読む視点と大きく違うのであろうか?
そういう疑問に佐藤正午は「小説の読み書き」の中できちんと答えてくれています。
同じ岩波新書から出版されている筒井康隆の「短編小説講義」「本の森の狩人」と共に作家の視点を知りたい人はぜひ読むべき本だと思います。
ほとんどの他の方のレビューと同意するところは、文章力の高さです。
なんだか、連続ドラマの秀逸な次回予告に踊らされるように、どうなるんだろう! と血沸き肉踊る感じで読み進められます。
登場人物の思わせぶりのセリフに彩られて深まっていくように見える謎。
しかし、個人的には、期待感を満足させることはできませんでした。
思わせぶりのセリフの意味合いもほぼ主人公の推理通りに長くて数十ページ以内で伏線回収されてしまいます。
300ページを超える長編全体としては、いわゆる予告編見ればだいたい十分じゃんって感じの話です。
「身の上話」というタイトル通り、告白調に記述が進められます。
この手法から、私のような読者が期待するのは、語り部もしくはそれに相当する登場人物には「全体の一部しか見えていなかった」と思えるような全体構造が読後に陰に陽に浮き出てくることです。
それがミステリーで言えば「伏線の回収」ってやつだと思います。
本作の場合、最終盤になって突然新たな要素が加わり、それが語り部の位置づけを説明することになりますが、
それまでの身の上話の「中身」に関する伏線回収はほとんどありません。
冒頭で述べたように、
ほぼ各話エピソード完結の連続ドラマを見ている感覚で読めば娯楽として楽しめそうです。
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