4.序奏とロンド・カプリチオーソと6.「シンドラーのリスト」が 聴きたくて買いました。 初めて彼女の演奏を聴きましたが、「あふれる情熱」という感じ ではなく、丁寧にきれいに弾きこなしている感じです。 ロンド・カプリチオーソではちょっとおとなしすぎるような気が しましたが、シンドラーのリストでは、はまっていました。 国際コンクールに出場しないという異色の若手ヴァイオリニスト。 これからも注目していきたいです。
1978年オランダ生まれのヴァイオリニスト、ジャニーヌ・ヤンセンの注目の録音。シャイー指揮ゲヴァントハウス管弦楽団との組み合わせというのも魅力だ。2006年のライヴ録音であるが、聴く限りではライヴ録音的な傷はほとんどなく、気にならない。
録音はなかなか華やかで、オーケストラのヴィヴィッドな表情がよく伝えられている。ブルッフでは弦楽器陣のトレモロによるクレシェンドなども迫力が存分に効いていてメリハリがある。ブラスの勇壮な響きも好ましいが、もっと踏み外した迫力を求める向きもあるだろう。ヤンセンのヴァイオリンソロは繊細できれい。特に主題をややピアノ気味で再現するようなシーンでは、細やかな表情付けが丁寧で、音楽に対する敬愛と、全体を見通しての注意が適切に配慮されていると感じられた。一方でやや弓の力感は軽めに思われるので、ズーンとくるような迫力はなく、あくまで繊細さとキレで勝負するタイプといえる。メンデルスゾーンも2楽章の情緒が豊かなのが印象深い。
ブルッフのヴァイオリン協奏曲の終楽章はオーケストラの力演もあって素晴らしい演奏効果だと思う。金管の刻む基音も、響きが充実していて、底から広がって力強く音楽を支えている。独奏者とも一体となってみごとなフィナーレを築いています。
ベートーヴェンに関しては、☆3つ半というところ。 ブリテンのコンチェルトは初めて聴いたので何も言えないが、面白い作品だと思う。
ヤンセンのヴァイオリンは繊細の極み、ピアニッシモは真剣に聴いていると悶絶させるような威力があり、このヴァイオリニストが只者ではないことを明かすに十分。何段階にも描き分けられる音の強さ、響き、音色は楽想に応じて融通無碍であり、この有名作品に新たな光を当てたとも言えようか。
但し、ヤルヴィの伴奏には大いなる疑問がある。小編成であることを論っても仕方ないが、ところどころで響きの薄さに肩透かしを食らう。先鋭、攻撃的な全体構想はひとつの見識としても(最近、この手のが多いから“見識”とまで言えるかどうかは疑問だが)、ベートヴェンの青春の切なさや輝きのようなものが、捨て犬や野犬の凶暴さを想起させる暴力性に収斂してしまっている、と言ったら言い過ぎかなあ・・・?
ヤンセンの没入したような表現意思が、バックの暴力的乃至痙攣的突発によって寸断されているように思えるところがいくつもあった。
ヤンセンはチャイコフスキーのコンチェルトでそれほど感心しなかったが、このベートーヴェンは傾聴に値するものだと思う。ブリテンのテクニックも相当なものだと思われ、☆3つながら強く推薦できるディスクだ。
すでにバッハの「ゴールトベルク変奏曲」を弦楽三重奏で演奏するというアルバムは複数枚ありますが、今回はオランダの女性ヴァイオリン奏者ヤンセンが、ヴィオラとチェロをともなって「二声のインヴェンション」と「三声のシンフォニア」に挑戦しました。
すでにヴィヴァルディの「四季」も録音しており、父親の影響でバロック演奏の経験も豊富な人なので、安心してバッハの音楽の世界にひたれます。早く起きた休日の朝にぴったりの気持ちいい演奏です。すでにマイスキーの「ゴールトベルク」弦楽三重奏版をお持ちで、気に入っておられる方は、購入して失望されることはないでしょう。
ところで、私にとってこの曲のベストはグールドの演奏です。グールドは、同じ調の「二声」と「三声」をつづけて演奏し、順番も大きく変えています。ヤンセンの演奏をiPodに取り込み、順番を入れ替えてグールドと同じにして聴いてみても面白いですよ。ぜひお試しを。
こんな解釈、消化方法もあったのかと目から鱗の衝撃を受けました。初めて耳にした時に夢中になり、何度も聞く度に新たな発見があり、再び感動する演奏です。これまでに何度も聞き馴染んできた曲ですが音楽には演奏者によってこんなにも千変万化するものであると改めて認識をしました。ヤンセンとオーケストラが会話をするかの様な感触、或いはオーケストラがヤンセンをやさしく、尊敬をもってサポートする様な感触が全体を通して伝わってきて音楽を聴く喜びを感じます。ヤンセンもまたオーケストラを信頼し、尊敬していると思わせる感覚が強く感じられ、そのことが聞く者を幸福な気持ちにさせてくれるのかと思います。ヤンセンとオーケストラが演奏する楽しみに満ちて、そして音楽に対する愛情が溢れている演奏というのが一番の印象です。
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